お水取りは、奈良の東大寺二月堂で毎年3月1日から14日まで行われる修二会(しゅにえ)の通称です。毎晩、練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧が堂に上がる道明かりとして、登廊(のぼりろう)を大きな松明が上がります。多くの日は午後7時頃に10本、3月12日は午後7時半に籠松明(かごたいまつ)が11本、3月14日は午後6時半に10本が続けて上がります。行の名の由来となったお水取りは、3月13日の午前1時半頃に行われます。東大寺は修二会の始まりを752年とし、2026年を1275回目と数えています。一度も途絶えたことのない行です。2027年のお松明の時刻、入場の規制、拝観の案内は、2026年10月31日の時点で東大寺からまだ発表されていませんでした。この記事の数字は2026年のもので、例年の目安としてご覧ください。

この記事では、日程とお松明の時刻、3月12日と13日に何が行われるか、どの夜を選ぶか、堂の中で行を聴聞する方法、そして奈良に泊まって夜を過ごす方法をまとめます。2026年10月31日に、東大寺の公式の頁と2026年の拝観の案内をあらためて読み、あわせて奈良市観光協会、日本政府観光局、文化庁、百科事典、雑誌『サライ』と『HugKum』、毎日新聞、各ホテルの公式の頁で確かめました。東大寺をはじめ、どこにも問い合わせはしていません。出典は最後にまとめています。昼間に東大寺、春日大社、奈良公園を歩く一日については、京都から奈良へ1日:東大寺、春日大社と静かな時間をご覧ください。

要点

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修二会とは

修二会の正式な名前は十一面悔過(じゅういちめんけか)法要で、二月堂の本尊である十一面観世音菩薩の前で、日々の過ちを悔い改めることを意味します。東大寺によると、修二会は752年、東大寺を開いた良弁僧正の高弟、実忠和尚が始めたもので、当時は国のための行事でした。天災や疫病、反乱は国の病と考えられ、それを取り除き、五穀豊穣や天下の安泰を願ったといいます。東大寺はこれを「不退の行法」と呼び、大伽藍の大半が二度失われた時でさえ一度も絶えなかったと書いています。2026年の修二会は1275回目にあたります。

日本の文化を扱う雑誌『サライ』は、行が途絶えかけた時のことを伝えています。1180年の兵火で大仏殿が焼けた後、当時の別当は翌年の中止を決めましたが、15人の僧が反対して行を勤めました。1567年にも東大寺は戦火に遭いました。1667年には行の13日目に二月堂の堂内から火が出ます。文化庁の広報誌は奈良国立博物館の毎年の展示を紹介する中で、この時の練行衆が火の中から小観音を救い出し、翌年の修二会も欠かさず勤めたことに触れています。東大寺の二月堂の頁によると、今の建物はその2年後に再建されたものです。『サライ』によると、灯火管制で夜の明かりが一切禁じられた1945年にも、堂内に黒い幕を張り巡らせて行を続けました。

修二会という名は、もとは旧暦の2月1日から行われていたことから、二月に修する法会という意味で付きました。二月堂の名もここから来ています。コトバンクの百科事典の項目によると、修二会はかつて多くの寺で行われていましたが、そのほとんどは途絶え、今も続くところも明治の改暦で1か月遅らせて行っています。奈良市観光協会は、お水取りが終わると奈良に春が来るといわれると書いています。

行を勤める僧は11人で、練行衆と呼ばれます。東大寺は毎年、良弁僧正の命日である12月16日の朝に翌年の練行衆を発表するので、2027年の練行衆は2026年12月16日に発表されます。2月20日からは戒壇院の別火坊(べっかぼう)で、別火と呼ばれる前行が始まります。東大寺によると、前半の試別火(ころべっか)では声明の稽古や、仏前を飾る椿の造花作り、灯心の準備などを行い、2月26日からの惣別火(そうべっか)では紙で作った紙衣(かみこ)をまとい、決まった場所以外では私語を慎み、火打ち石で点けた火鉢のほかは火の気がなくなります。2月28日の午後、練行衆は二月堂の下の参籠宿所に移り、その夜から本行が始まります。

2027年の日程と2026年の時刻

日程は動きません。本行は毎年3月1日から14日まで二月堂で行われ、2027年は月曜日から日曜日にあたります。年ごとに変わるのは拝観の案内です。2026年10月31日の時点で、東大寺のお知らせの頁に2027年の案内はありませんでした。2026年の案内は2026年2月3日付だったので、2027年の案内も2月上旬に出ると見ておくとよいでしょう。下の表は、東大寺が公表した2026年の時刻です。東大寺は、当日の状況などで変わる場合があるとしています。

2026年の修二会(東大寺のお松明の頁と2026年2月3日付の拝観の案内から)
3月の日付お松明開始終わりの目安二月堂に上がれなくなる時刻
1日10本午後7時午後7時25分頃午後4時45分頃
2日から6日10本午後7時午後7時25分頃午後6時頃
7日10本午後7時午後7時25分頃午後6時半頃
8日から11日10本午後7時午後7時25分頃午後6時頃
12日籠松明11本午後7時半午後8時10分頃午後4時15分頃
13日10本午後7時午後7時25分頃午後6時頃
14日10本午後6時半午後6時40分頃午後5時半頃

右端の欄は、二月堂そのものに上がれなくなる時刻です。東大寺によると、お松明の間とその前後は二月堂に近づくことができず、お松明の後も、日によってはその日の儀式が終わるまで、参拝を受け入れる準備が整うのに時間がかかります。整えば翌日の夕方の規制まで再び参拝できます。東大寺の二月堂の頁には、ふだんは24時間参拝できると書かれています。

お松明は練行衆の道明かりです。東大寺によると、平日は午後7時に東大寺の大鐘が鳴らされ、それを合図にお松明に火が点けられます。奈良市観光協会は、長さ約7mの松明が登廊を上がり、舞台の欄干を走って、下にいる参拝者に火の粉を降らせる様子を伝えています。日本政府観光局は、自らの頁に載せたお松明の写真は長時間露光で撮ったものだと断っています。東大寺は土曜と日曜が特に混み合い、警察の指示で第2拝観所へ回ってもらう場合があるとしています。二月堂の下の広場に入れるのは約3,000人です。

3月12日とお水取り

3月12日はお松明が変わります。籠松明11本が午後7時半に点けられ、約45分続きます。小学館の『HugKum』は、籠松明を長さ約8m、重さ約60kgと紹介しています。松明の木にも歴史があります。毎日新聞は2022年、三重県名張市赤目町一ノ井の松明講が毎年2月にヒノキを割って松明を作ること、それが774年続く伝統であることを伝えました。観光三重は、その松明木を3月に二月堂まで運ぶ行事を紹介しています。

東大寺はこの日について率直に書いています。お松明は「お水取り」の行われるこの日しか見られないとニュースなどで思っている方が多く、大混雑が予想され、来る時間によってはお松明を見られない場合がある、と。奈良公園の周りでは交通規制が、二月堂の付近では入場規制が行われ、警察の指示に従うよう求めています。2026年の案内によると、12日は伝統的に二月堂の信者の組織である講社の参詣日です。講社の方々は決まった場所でお松明を拝観した後に局で聴聞し、一般の参拝者は広場で順に移動しながら、ごく短い時間だけお松明を見ることになります。東大寺はその段落を、他日をお勧めしますと結んでいます。

その夜更けにお水取りが行われます。東大寺の頁によると、練行衆は後夜の行を中断し、3月13日の午前1時過ぎ、松明に先導されて堂を出ます。篝火と奏楽の中、咒師(しゅし)を先頭に、牛玉杖と法螺貝を持った5人の練行衆、堂童子、御幣を捧げ持つ講社の人々、水を入れる閼伽桶を運ぶ人々が続き、石段を下りて途中の興成神社で祈り、若狭井のある閼伽井屋に着きます。当役の者以外は誰も中に入ることも、うかがうこともできません。汲んだ水は三往復して内陣に納められ、その後、中断していた行が再開されます。

東大寺はこの由来も伝えています。実忠和尚が全国の神々を二月堂に招いた時、若狭国の遠敷明神(おにゅうみょうじん)だけが魚を採っていて遅れ、そのお詫びに堂のほとりに清水を湧き出させました。その時、岩の中から黒と白の二羽の鵜が飛び出したといいます。内陣の甕の一つには、毎年のお水取りで汲んだ水を追い足して蓄えたお香水が納められています。その年の水を井戸水で割ったものは、二月堂で小瓶に入れて頒布されています。

3月14日と落ち着いた夜

最後の夜はお松明が早く、午後6時半に点けられ、間を空けずに次々と上がるので、全体で約10分です。東大寺はこれを尻つけ松明と呼び、行の最終日で片付けがあるためと説明しています。お松明の頁には、欄干に10本が横一列に並ぶとあります。この日も混雑が予想され、2027年の3月14日は日曜日です。

ほかの夜のお松明はどれも同じで、午後7時に10本、約20分です。初めてなら、前半の平日の夜がもっとも落ち着いて見られます。2027年は3月1日から5日と、8日から11日が平日です。お松明は短く、寒さは長く続きます。3月初めの夜の行事なので、東大寺は足や体力に不安のある方に、参拝するかどうかをよく考えるよう求めています。『HugKum』は、火の粉で溶けにくい綿やウールの服、フードや帽子、手袋を勧めています。

撮影をしたい方は、第2拝観所の西端を使うよう求められています。二月堂の周り(裏参道の全域を含む)では、三脚、一脚、脚立、ストロボが禁止で、無人の機材で場所を取ることも控えるよう求めています。東大寺は、行事の意味を知ってから参拝するよう、奈良国立博物館が毎年2月中旬から3月中旬に開く特別陳列「お水取り」を勧めています。2026年は2月7日から3月15日までで、観覧料は一般¥700でした。

局で聴聞する

多くの人が見るのはお松明ですが、行そのものは堂の中で、正午から、練行衆が下堂する午前1時から午前4時半頃までの間、一日に6回勤められます。東大寺によると、練行衆は正午の食事の後、下堂するまで食事はもちろん、水を飲むことさえしません。夜の行では神名帳や過去帳が読み上げられ、決まった日には、内陣の周りを走る「走り」や、堂内で大きな松明を振り回す「達陀(だったん)」が行われます。

参拝者は、堂の脇にある局で聴聞できます。東大寺によると、3月12日を除いて、誰でも自由に入れます。2026年の案内には、守ることが書かれていました。スマートフォンなど電子機器の使用は禁止で、撮影、録画、録音は厳禁です。飲食と喫煙も禁止です。私語は控え、周りの迷惑になる物音を立てないこと。過密になるのでマスクを推奨します。音が鳴りにくい靴袋と、折りたたみ傘と傘袋を持参し、局の扉は必ず閉めること。ブーツなど脱ぐのに時間のかかる靴は聴聞に向かないとあります。場所に限りがあるため大人数での参拝は控えるよう求めており、満席になる夜もあります。

局に届くのは、主に音です。暗がりのすぐ近くで、声明と法螺貝が響きます。東大寺の英語の頁は、声明を仏教の音楽の一つの形と呼んでいます。修二会は宗教行事であり、東大寺は旅行会社に、そのことをお客様に伝えてから参拝してほしいと求めています。

曇り空の下、松と冬枯れの枝の向こうで静かな池に映る東大寺大仏殿

お松明の後の奈良

多くの夜は午後7時半には終わります。泊まれば、坂を下る道をゆっくり歩き、翌朝、二月堂がまた開いて人が増える前に、もう一度上がることができます。

公園の端には二つのホテルがあります。1909年創業の奈良ホテルは、東京駅を手がけた辰野金吾の設計による木造の本館を今も使い、西館をリニューアルして開いています。近鉄奈良駅からタクシーで約5分です。メインダイニングルーム「三笠」の夕食は午後5時半から9時まで、ラストオーダーは午後8時なので、午後7時のお松明の後では時間に余裕がありません。紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良は2023年8月29日、公園の西の端に開業しました。大正時代の旧知事公舎を囲む43室で、天然温泉の内風呂と露天風呂を備えた部屋もあります。開発した森トラストによると、近鉄奈良駅から徒歩約15分、タクシーで約5分です。

京都や大阪からは電車で簡単に来られます。東大寺によると、近鉄で大阪難波から奈良まで約40分、京都から約50分で、近鉄奈良駅から寺までは徒歩約20分です。奈良市観光協会によると、奈良の駅からバスで7分、「大仏殿春日大社前」から二月堂までは歩いて10分です。車なら、名神高速道路の京都南インターチェンジから約60分です。ただし行の期間中、東大寺は自家用車とタクシーの進入を規制し、寺に駐車場はありません。3月12日は公園の周りで交通規制も行われます。車で行けるのは規制の手前までで、そこからは暗い坂を歩いて上がります。

STAYGOにできること

STAYGO は日本各地への個人旅行を計画しています。3月初めの日程があれば、お知らせください。お松明を見る夜を一緒に選び(たいていは平日で、3月12日を避けます)、その夜を中心に計画を立てます。京都や大阪、奈良のホテルから車が入れるところまでの送り迎え、一緒に上がって行のことを説明する案内人、奈良での一泊、お松明の後の静かな夕食などです。奈良ホテルの「三笠」は夕食のラストオーダーが午後8時なので、選んだお店にその夜どうできるかを聞き、返ってきた答えをそのままお伝えします。お松明の場所や局の席を押さえることは誰にもできず、そのように申し上げることもしません。手配はすべてお客様のお名前で行い、ホテル、お店、案内人、運転手へのお支払いはそれぞれの料金で直接お願いしています。私たちが手数料や上乗せをいただくことはありません。旅は7日から14日のSignatureプラン、またはより長く込み入った旅のためのBespokeで計画します。

出典と確かめ方

2026年10月31日に、下の頁を読みました。日程、時刻、決まりごと、行そのものについては東大寺の公式の頁と2026年の拝観の案内を、背景については観光の団体、国の広報誌、百科事典を、歴史と実際の様子については二つの雑誌と新聞を使いました。東大寺、ホテル、そのほかどこにも問い合わせはしていません。報道から取った数字は、本文でそうとわかるように書いています。時刻は目安として公表された2026年のものです。2027年の案内は2026年10月31日の時点で出ておらず、東大寺は当日に時刻が変わる場合があるとしています。

よくあるご質問

2027年のお水取りはいつですか

修二会は毎年3月1日から14日まで二月堂で行われるので、2027年は3月1日(月)から14日(日)までです。2026年10月31日の時点で、東大寺は2027年のお松明の時刻や拝観の決まりをまだ発表していませんでした。2026年の案内は2026年2月3日に出ています。

お松明は何時からですか

2026年は、3月1日から11日と13日が午後7時から約20分、3月12日が午後7時半から約45分、3月14日が午後6時半から約10分でした。東大寺は、当日に時刻が変わる場合があるとしています。

3月12日に行くのがいちばんよいですか

12日は籠松明11本が上がる夜で、もっとも混み合います。東大寺は入場を規制し、局を講社の方々に充てており、一般の参拝者は移動しながら短い時間だけお松明を見ることになります。東大寺自身がほかの日を勧めています。

お水取りの儀式は見られますか

閼伽井屋へ下る行列は3月13日の午前1時過ぎに通り、お水取りは午前1時半頃です。閼伽井屋の中には、当役の者以外は誰も入ることも、うかがうこともできません。

場所や席を予約できますか

できません。東大寺によると、お松明の拝観に予約や場所取りはできず、局は3月12日を除く毎晩、満席になるまで誰でも入れます。

お水取りのことをご相談ください

3月の日程と、お泊まりの場所をお知らせください。お松明を見る夜をご提案し、車、案内人、奈良での一泊、お松明の後の夕食について先方に聞き、確かめられたことをお返しします。

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