オブラドイロ広場に歩いてたどり着いた人は、数か月たつと次はどこを歩くかを考えはじめます。カミーノを歩いた多くの人の答えが、和歌山の山の道です。熊野古道とサンティアゴの巡礼路は、田辺市とサンティアゴ・デ・コンポステーラ市が協定で結んだ二つの巡礼路で、両方を歩き終えた人は「共通巡礼達成者(Dual Pilgrim)」として登録できます。

この記事では、カミーノを知っている方に向けて、中辺路を数日かけて歩く旅をまとめました。田辺市熊野ツーリズムビューロー、神社、宿、空港、観光庁や日本政府観光局、スペインの資料を読み、どこにも問い合わせはしていません。出典は最後にあります。高野山の宿坊に泊まり、本宮まで半日だけ歩く短い旅は 高野山と熊野古道:寺と社と旅の日数 → でご紹介しています。

要点

本宮までの歩き方のご相談 →


共通巡礼の条件

観光局によると、二つの道の結びつきは2008年10月27日に結ばれた共同プロモーションの協定に始まり、2014年5月13日にサンティアゴで、7月6日に田辺で観光交流協定が結ばれました。共通巡礼そのものは2015年2月1日に始まっています。

カミーノ側の条件はおなじみのとおり、最後の100km以上を徒歩か馬で、または最後の200km以上を自転車で進むことです。熊野古道側にはいくつかの区間があり、認められるのは歩いた場合だけです。カミーノを歩いた方が多く選ぶのは、中辺路の滝尻王子から熊野本宮大社までの約38kmです。ほかに熊野那智大社と本宮のあいだ約30km、高野山から本宮まで約65kmがあります。いちばん短い発心門王子から本宮までの約7kmは、ほかの二つの大社への参拝とあわせて初めて認められます。

登録は二つ目の道を歩き終えた場所で行います。サンティアゴではルーア・ド・ビラール63番地のサンティアゴ観光案内所、熊野側では本宮の世界遺産熊野本宮館か、JR紀伊田辺駅の隣の田辺市観光センターです。カミーノを歩いた証明(電子の写しでも可)と、スタンプを集め終えた熊野の巡礼手帳を持参します。田辺側で登録すると、熊野本宮大社の宮司からの達成証明書と記念のピンバッジを受け取り、大社での共通巡礼達成者のための太鼓の儀式に加わることができます。

木のスタンプ箱のそばで、朱色の巡礼スタンプを押した小さな手帳を持つ手

巡礼手帳と朱色のスタンプ

共通巡礼の手帳は無料で、田辺市観光センターのほか、中辺路沿いの案内所や宿でも受け取れます。使い方はカミーノのクレデンシャルとほぼ同じです。

違うのはスタンプのある場所です。カミーノではアルベルゲや教会、バルで押してもらいますが、中辺路では道そのものに置かれています。いくつかの王子や主な場所に、腰の高さほどの社の形をした木の箱があり、中にスタンプと朱肉が入っています。中辺路のスタンプは朱色で、高野山やほかの多くの道では黒です。

気をつけたいことが二つあります。和歌山県のスタンプ台紙は別の取り組みで、共通巡礼には数えられません。また熊野の区間だけを歩き終えても証明書は出ず、二つの道を歩き終えて初めて受け取れます。

滝尻から本宮への行程

中辺路は都の人々の道でした。観光局によると、10世紀から京都から向かう皇族がよく使い、上皇や貴族も歩いてきました。道沿いには熊野三山の御子神をまつる王子があり、観光庁の解説は、昔から「九十九王子」と呼ばれてきたものの正確な数ではないと記しています。

歩く前。観光局は前の晩を田辺で、大阪や京都から来る場合は高原で過ごすことを勧めています。滝尻王子は富田川のほとりに立っています。

一日目、滝尻から近露。約16km、6時間ほどです。道は滝尻からすぐに登りはじめ、滝尻から継桜王子までの区間で観光局は約1,260mの登りを示し、難しさを独自の尺度で4としています。途中の高原は標高約300mの尾根の集落で、1403年に熊野の神が移されたと伝わる神社と、樹齢1,000年を超えるとされる楠があります。

二日目、近露から本宮。約24.5km、9時間ほどの長い一日です。途中に食事のできる店はないので、昼食は持って歩きます。観光局は蛇形地蔵のそばの沢と三越峠を、よく休む場所として挙げています。下りでは発心門王子と、昔の巡礼者が初めて大社を目にしたという伏拝王子を通ります。近露王子にはバスが止まるので、この日を分けて、翌朝に同じ場所から歩きはじめることもできます。

本宮で一日。観光局は、本宮を旅の真ん中にするなら休みの日を置くことを勧めています。熊野本宮館で共通巡礼の登録をして、太鼓の儀式に加わるのにちょうどよい日です。

那智へ。小雲取越は本宮から小口の集落まで約13km、5時間半ほどです。翌日の大雲取越は約14.5km、7〜8時間で山を越え、熊野那智大社に着きます。新宮の速玉大社とあわせて三つの大社をめぐれます。那智と速玉の見どころは高野山と熊野の記事にまとめています。

カミーノのあとに歩く熊野

距離は短く、一日はきつくなります。メセタを長く歩くカミーノの一日と、約1,260mを登る滝尻から継桜王子までの17kmとでは、使う脚が違います。道は石と根と杉の森で、急なところが多く、観光局は山の天気が急に変わると注意しています。

道連れも違います。カミーノではアルベルゲやバルで巡礼者どうしが出会いますが、中辺路では集落のない森を長く歩き、一日の区切りになるのは神社です。日本政府観光局のスペイン語のサイトは、二つの道にそれぞれのしるしがあると書いています。一方はホタテ貝、もう一方は三本足の八咫烏で、熊野本宮大社は八咫烏を主祭神のお仕えとしています。

そして夕方の過ごし方があります。宿の夕食はたいてい18時ごろなので、観光局は早めに出て15時から17時に着くよう勧めています。そのあいだが温泉の時間です。町で食事をして一日を終えるサンティアゴのあとでは、温泉に入り、浴衣に着替え、宿で夕食が運ばれてくることが、いちばん心に残る違いになります。

道中の宿

中辺路の宿は山の宿、集落の宿、温泉旅館で、いちばん上質な部屋は道の終わり、本宮の温泉地と海辺にあります。

霧の郷たかはら。2007年に和歌山県が地元の木で建てた宿で、観光局が「霧の郷」と呼ぶ集落にあります。朝には窓の下の谷が雲で満ちることがあります。お湯は渡瀬温泉から運び、料理には地元の食材を多く使っています。歩きはじめる前の晩に向いています。

川湯温泉 冨士屋。本宮に近い川湯の大塔川沿いにあり、スイート1室と熊野モダンの部屋3室を含む31室です。英語のサイトには露天風呂付きの熊野モダンの部屋が載っています。冬には宿の前の川が大きな露天風呂、仙人風呂になります。チェックインは15時からで、夕食付きの場合は18時までに着きます。長い一日のあとと、本宮での休みの日に向いています。

熊野別邸 中の島。那智の側、勝浦湾に浮かぶ島に一軒だけ建つ宿です。南海電気鉄道は2020年の発表で、一島一旅館であること、島に六つの源泉があり一日700トンが湧くこと、源泉かけ流しの露天風呂「紀州潮聞之湯」を紹介しています。那智を参拝した夜、巡礼の締めくくりに向いています。

近露や小口では選べる宿が限られます。そこで、近露のバス停から車で温泉の宿へ移り、翌朝また道に戻る手配をよくしています。歩く道はそのままに、夜はいちばんよいお湯で過ごせます。

荷物とガイドと季節

荷物。観光局は宿から宿への荷物の運搬を紹介していますが、条件が二つあります。KUMANO TRAVEL で予約した宿のあいだだけで、20日前までに申し込む必要があります。私たちのお客様には専用の車で宿から宿へ荷物を運ぶので、日帰りの荷物だけで歩けて、宿も自由に選べます。

ガイド。中辺路の意味の多くは、神社や古い碑文など、旅人には読み解けないものの中にあります。熊野の信仰を知る資格を持つガイドが、王子の一つひとつを説明し、スタンプの箱を見つけ、本宮への長い下りの歩みを整えます。ガイドの費用と価値は 日本で専属ガイドは必要か → にまとめています。

季節。観光局は春と秋をよく歩かれる季節としています。夏は暑く湿気と雨が多く、紀伊半島は日本でも特に雨の多い地域で、台風で列車が乱れることもあります。12月末から2月末は凍結や雪のおそれがあり、日も短く、谷では早く暗くなります。数日かけて歩くなら、4月と5月、10月と11月をおすすめします。

マドリードから滝尻へ

Hosteltur によると、イベリア航空は2024年10月27日にマドリードと東京成田の直行便を再開しました。東京から南へは二つの道があります。一つは羽田からの空路で、南紀白浜空港の時刻表ではJALが一日に数便、65分から75分ほどで結んでいます。もう一つは新幹線で新大阪へ行き、特急くろしおで紀伊田辺まで約2時間、京都からは約2時間35分です。滝尻へのバスは紀伊田辺駅から出ており、車ならすぐです。

共通巡礼の旅は、7日から21日の旅をつくる私たちの Signature の計画によく収まります。東京か京都で数泊して長旅の疲れをとり、中辺路で4〜5日、本宮で一日休み、最後の夜を海辺で過ごします。宿、車、荷物、ガイドを手配し、支払いはそれぞれもっとも簡単な形で、たいていは宿の会計か当日にお願いしています。ガリシアとのつながりを大切にする方には、2023年にガリシア州政府がマドリードのガリシア会館で二つの道を並べた展示「Kumano y Santiago. Caminos de peregrinación」を開いたことも添えておきます。

出典と確かめ方

2026年11月5日に、下の頁を読みました。距離と時間は観光局の数字で、丸めています。神社、宿、航空会社、そのほかどこにも問い合わせはしていません。

よくあるご質問

共通巡礼達成者になるにはどうすればよいですか

カミーノの最後の100km以上を徒歩か馬で(自転車なら200km以上)、そして熊野古道の決められた区間、たとえば滝尻王子から熊野本宮大社までの約38kmを歩きます。そのうえで、カミーノの証明とスタンプを集め終えた巡礼手帳を持って、サンティアゴか田辺で登録します。

熊野古道の巡礼手帳はどこでもらえますか

共通巡礼の手帳は、JR紀伊田辺駅の隣の田辺市観光センターや、中辺路沿いの案内所や宿で無料で受け取れます。和歌山県のスタンプ台紙は別の取り組みで、共通巡礼には数えられません。

中辺路の滝尻から本宮まで何日かかりますか

田辺市熊野ツーリズムビューローは2日としています。近露まで約16km、本宮まで約24.5kmです。本宮で一日休み、那智まで2日歩くと5日になります。

スペインの共通巡礼達成者は何人いますか

観光局によると、2026年9月30日現在、登録した18,331名のうち1,136名がスペインの方で、国別で6番目に多い数です。

スペインから熊野古道の起点までどう行きますか

イベリア航空がマドリードから東京成田への直行便を運航しています。東京からは羽田から南紀白浜までJALで65分から75分ほど、または新幹線と特急くろしおで紀伊田辺まで、新大阪から約2時間です。滝尻は紀伊田辺から車かバスで近い距離です。

本宮までの歩き方のご相談

カミーノを歩いた時期と、熊野にいらっしゃりたい時期をお知らせください。行程、宿、荷物を運ぶ車を理由とともに並べてお見せし、歩く速さを選んでいただけるようにします。

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手配するお店やバーには、紹介制や会員制のところもあります。お客様に代わってお願いし、お席と日取りはお店の判断によります。名前は公開していません。

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