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泊食分離の意味と海外のお客様に合う組み方

泊食分離とは、泊まることと食事を分けて売り、お客様が素泊まりや朝食付きを選んで、夕食を館の外の店でもとれるようにする形です。観光庁が2017年に温泉街の宿に尋ねた調査では、泊食分離をしている宿は32.0%で、インバウンドに積極的に取り組んでいる宿では51.9%でした。この記事では、観光庁の調査と、近畿運輸局が奈良県吉野町で行った実証の報告書で確かめた利点と注意、日本で平均9.5泊する海外のお客様に合う組み方と、英語のプランの書き方をまとめます。
要点
- 泊食分離とは、泊まることと食事を分けて売り、お客様が素泊まりや朝食付きを選んで、夕食を館の外の店でもとれるようにする形です。
- 観光庁が2017年に温泉街の宿に尋ねた調査では、泊食分離をしている宿は32.0%で、インバウンドに積極的に取り組んでいる宿では51.9%でした。
- 効果は、人手不足が解消したが28.2%、コストが削減できたが25.1%、顧客満足度が向上したが21.6%で、効果は無かったという答えも12.0%ありました。
- 近畿運輸局の吉野町の実証では、利用者の9割が満足と答えた一方、夜の交通手段、人手の確保、飲食店が夜も営業することに課題が残りました。
- 英語では、Room only、Breakfast included、Breakfast and dinner included のように、プランの名前に何が含まれるかを一文で添えます。
泊食分離の意味
泊食分離は、泊まりと食事を一つの料金にまとめた1泊2食の売り方に対して、泊まることと食事を分けて売る形を指します。お客様は、素泊まり、朝食付き、1泊2食付きの中から選び、夕食を館でとるか、町の店でとるかを決められます。
形は一つに限りません。観光庁の調査では、宿が単独で取り組む形のほか、宿泊施設どうしの連携、館の外の飲食店との連携、館の中の食事処を宿泊客以外にも開く形が尋ねられています。近畿運輸局の報告書も、宿泊施設どうしで泊まりと食事を分け合う形、地元の事業者と組んで商品にまとめる形、外から飲食店を呼ぶ形、夜に店へ行くための足を用意する形、空いている建物を使って新しい場を作る形を例に挙げています。
観光庁の調査で見る泊食分離
観光庁は、全国の温泉街にある旅館、ホテル、民宿などから選んだ3,000の宿と、温泉街の観光協会や温泉組合などに、泊食分離や共同購買などの地域の連携を尋ねました。観光庁のページでは2017年の調査として載っていて、宿の有効回答は908件です。
宿の答えでは、泊食分離をしている宿は32.0%で、していない宿のうち20.6%が今後取り組みたいと答えました。インバウンドに積極的に取り組んでいる宿では51.9%、取り組んでいる宿では33.6%、取り組んでいない宿などでは24.4%が泊食分離をしていて、海外のお客様の受け入れに力を入れている宿ほど、泊食分離をしている割合が高くなっています。
- 始めたきっかけ 選択肢を広げてお客様を確保することが56.7%、人手不足の解消が41.2%、連泊のお客様への対応が32.0%でした。
- 実際の効果 人手不足が解消したが28.2%、コストが削減できたが25.1%、顧客満足度が向上したが21.6%、インバウンドが増加したが19.6%、連泊のお客様が増えたが15.5%でした。効果は無かったという答えも12.0%ありました。
- 連携の形 ほかの施設と組まずに取り組んでいる宿が63.2%で、館の外の飲食店と組んでいる宿は26.5%でした。
観光協会や温泉組合などの答えでは、泊食分離の効果として、顧客満足度の向上が34.8%、地域の活性化が32.6%、連泊のお客様の増加が21.7%挙がっています。
回答した宿は、平均の宿泊日数が1泊のところが89.2%で、日本人と外国人の比率を10対0か9対1と答えた宿が76.0%でした。日本人のお客様が中心の温泉街の宿に尋ねた、2017年の調査であることも踏まえて読みます。
吉野町での実証
国土交通省の近畿運輸局は、奈良県吉野町で泊食分離の実証を行い、2026年3月23日に更新したページで報告書を公表しています。2025年11月に町内に期間限定の夕食の店を開き、町の内外の117組302名に夕食を出しました。
利用者のアンケート(日本語版と英語版で180件)では、9割が総合的に大変満足か満足と答えています。町外の利用者からは、宿泊先が食事を出していないので助かる、宿泊先とは違う食事をとれてありがたいという声が多く、英語版の回答(14件)でも、宿泊先とは違う種類の料理を食べられることをありがたいとする答えがもっとも多くなりました。宿と町の飲食店から、客数や売上が減ったという声は見られませんでした。
一方で、夜の交通手段、人手の確保、飲食店が夜も営業することには課題が残り、料理の平均の原価率は約70%で、収支は支出が上回りました。報告書は、泊食分離は地域の宿と飲食店が組み、地域が一体となって取り組まなければ本当の効果は表れないと書いています。
海外のお客様と泊食分離
観光庁のインバウンド消費動向調査(2025年の確報、2026年3月31日公表)では、訪日外国人が日本に滞在した平均の泊数は9.5泊でした。国と地域ごとの泊数は海外のお客様を知るにまとめています。一方、宿泊旅行統計調査(2025年の確定値)では、旅館に泊まった外国人の1人あたりの平均の泊数は1.33泊で、旅館全体では1.20泊です。地域ごとの外国人の泊まり方は外国人延べ宿泊者数を都道府県別に見るにあります。
吉野町の報告書の聞き取りでは、1泊2食付きと1泊朝食付きのプランを出している町内の宿が、海外のお客様は1泊朝食付きのプランが多いと話しています。報告書は、石川県の和倉温泉で地域の13の飲食店と組んだ取り組みについても、決まった形に偏らない食事を楽しめることが、連泊率の向上にも役立ったと紹介しています。
日本で長く旅をする海外のお客様には、2泊目や3泊目の夕食を、館の会席か町の店かで選べるようにする組み方が考えられます。
宿の利点
- 人手の配分 夕食の支度と配膳に割いていた時間を、到着の案内や客室の準備に回せます。観光庁の調査では、泊食分離をした宿の28.2%が人手不足が解消したと答えています。吉野町の報告書の聞き取りでは、夕食の提供をやめた町内の宿が、売上は下がったものの人件費と材料費が大きく減り、利益率への影響はそれほどなかったと話しています。
- 連泊のしやすさ 観光庁の調査では、泊食分離をした宿の15.5%が連泊のお客様が増えたと答えています。夕食を日によって選べる形は、2泊、3泊と続けて泊まるお客様の予定に合わせやすくなります。
- 食事の制限への対応 ベジタリアンやヴィーガン、ムスリムのお客様など、食事に決まりのあるお客様が、自分に合う店を選べます。館で応じられる範囲と、町で応じられる店を分けて伝えられます。聞き方はベジタリアンとヴィーガンのお客様の食事とムスリムのお客様を迎えるにあります。
- 地域とのつながり 夕食を町の店でとるお客様が増えると、宿の外の店にもお客様が回ります。観光協会や温泉組合などへの調査でも、効果として地域の活性化が32.6%挙がりました。
気をつけること
近畿運輸局の報告書は、泊食分離には旅館の業務の効率化や地域の経済の活性化といった利点がある一方で、旅館の特徴や魅力が薄れること、部屋食のような伝統的な体験が失われること、観光客の手間や費用が増えることも考えられると書いています。始める前に、次のことを決めておきます。
- 料金と含まれるもの プランごとに、何が含まれ、何が含まれないかを書きます。夕食を後から足せるなら、その代金も別に書きます。書き方は海外のお客様に伝わる料金と取り消しの書き方にあります。
- 夕食の取り消し 夕食を足したり取り消したりできる形にするなら、いつまで受け付け、いつから代金がかかるかを決めます。英語の文はキャンセルポリシーを英語で書くときの例文も使えます。
- 地域の店との連携 歩いて行ける店の営業時間、定休日、予約が要るか、英語のメニューがあるかを一覧にします。吉野町のセミナーでは、町の飲食店の多くは17時に閉まり、遅くても19時半までという声が出ています。夜に開いている店が少ない地域では、館の夕食を残す形や、近くの宿と組む形も考えます。
- 夕食の時刻の案内 館で夕食をとるお客様には、始まりの時刻の決め方と、到着が遅れたときの扱いを伝えます。到着の遅れと夕食の時刻を英語で伝えるに例文があります。
英語のプランの書き方
海外のお客様には、プランの名前に、何が含まれるかを一文で添えます。プランの形と英語の書き方、向くお客様の例です。
| 形 | 英語の書き方 | 向くお客様 |
|---|---|---|
| 素泊まり | Room only | 夕食も朝食も町で選びたい方、到着の遅い方 |
| 朝食付き | Breakfast included | 夕食は町の店で楽しみたい方、連泊の途中の方 |
| 1泊2食付き | Breakfast and dinner included | 館の会席を楽しみにしている方、夜は館で過ごしたい方 |
| 夕食を日ごとに選ぶ形 | Breakfast included, dinner on request | 2泊以上の方、日によって過ごし方を変えたい方 |
Room only. Breakfast and dinner are not included. Our front desk would be pleased to recommend restaurants within walking distance.
素泊まりのプランです。朝食と夕食は含まれません。歩いて行ける食事処は、フロントでご案内いたします。
Breakfast included. Dinner is not included. If you would like dinner at the inn, please let us know by 15:00 the day before.
朝食付きのプランです。夕食は含まれません。館での夕食をご希望の場合は、前日の15時までにお知らせください。
Breakfast and dinner included. Dinner is a seasonal kaiseki course. Please choose a starting time between 18:00 and 19:30.
朝食と夕食付きのプランです。夕食は季節の会席です。始まりの時刻を18時から19時半の間でお選びください。
For stays of two nights or more, you may choose each evening whether to dine at the inn or in town. Please let us know by 10:00 that morning.
2泊以上のご滞在では、夕食を館でとるか町でとるかを、毎日お選びいただけます。その日の10時までにお知らせください。
Dinner may be cancelled free of charge until 15:00 the day before. After that, the full dinner charge applies.
夕食は前日の15時まで無料で取り消せます。それ以降は、夕食の代金の全額を申し受けます。
Most restaurants nearby close by 20:00, and some are closed on Wednesdays. We would be happy to check opening hours and make a reservation for you.
近くの食事処の多くは20時までに閉まり、水曜がお休みの店もあります。営業時間の確認とご予約は、こちらでお手伝いします。
時刻、期限、曜日はどれも例です。決まりの中身は館が決めます。
始める順番
- 今のプランを並べる 食事の有無でプランを分け、どのプランがどの経路で売れているかを確かめます。
- 町の店を確かめる 歩いて行ける店と、夜に開いている店、予約が要るか、英語で対応できるかを一覧にします。
- 連泊の夕食から試す 2泊目以降の夕食を、館か町かで選べる形から始めると、館の夕食の支度を一度に変えずにすみます。
- 英語の文をそろえる プランの名前、含まれるもの、夕食の取り消しの決まりを、公式サイト、予約サイト、確認のメールで同じ文にします。
- 帳場で案内する 到着のときに、近くの店の地図と営業時間を渡します。食事の制限があるお客様には、合う店を伝えます。
よくある質問
泊食分離とは何ですか
泊まることと食事を分けて売り、お客様が素泊まりや朝食付きなどを選べるようにする形です。夕食は館でとるか、町の店でとるかを選べます。宿が単独で取り組む形のほか、近くの宿や飲食店と組む形もあります。
泊食分離のメリットは何ですか
観光庁が2017年に温泉街の宿に尋ねた調査では、泊食分離をした宿の効果として、人手不足が解消したが28.2%、コストが削減できたが25.1%、顧客満足度が向上したが21.6%でした。連泊のお客様が増えたという答えも15.5%ありました。
泊食分離のデメリットは何ですか
近畿運輸局の報告書は、旅館の特徴や魅力が薄れること、部屋食のような伝統的な体験が失われること、観光客の手間や費用が増えることを挙げています。奈良県吉野町の実証では、夜の交通手段、人手の確保、飲食店が夜も営業することに課題が残りました。
泊食分離について観光庁の資料はありますか
観光庁は、宿泊施設の生産性を高める取り組みの一つとして、泊食分離や共同購買などの地域の連携を調べた結果と事例集を、2017年の調査として公開しています。国土交通省の近畿運輸局も、2025年8月から2026年3月にかけて奈良県吉野町で泊食分離の実証を行い、報告書を公開しています。
泊食分離を英語でどう伝えればよいですか
言葉そのものを訳すより、プランごとに何が含まれるかを書くほうが伝わります。素泊まりは Room only、朝食付きは Breakfast included、朝食と夕食付きは Breakfast and dinner included と書き、夕食を館でとれるかと、いつまでに知らせればよいかを一文で添えます。
まとめ
泊食分離は、泊まることと食事を分けて売り、お客様が素泊まりや朝食付きを選んで、夕食を館の外でもとれるようにする形です。観光庁の2017年の調査では、温泉街の宿の32.0%が取り組み、インバウンドに積極的に取り組んでいる宿では51.9%でした。効果は人手不足の解消やコストの削減が多く、近畿運輸局の吉野町の実証では利用者の9割が満足と答えた一方、夜の交通手段や飲食店の夜の営業に課題が残りました。日本で平均9.5泊する海外のお客様には、連泊の夕食を館か町かで選べる組み方が考えられます。プランの名前と含まれるもの、夕食の取り消しの決まり、町の店の案内を英語でそろえて始めます。STAYGOコンサルティングにご依頼いただければ、貴館のプランに合わせて、食事の有無と取り消しの決まりを英語と日本語の文にそろえます。
出典と調べ方
八つのページと資料は、記事を書いた2026年10月15日に開いて読み、確かめました。観光庁の調査は、全国の温泉街の宿と観光協会などに尋ねたもので、観光庁のページでは2017年の調査として載っています。グラフの数は、PDFの図を開いて読み取りました。机上で調べたもので、観光庁と近畿運輸局に問い合わせてはいません。
- 観光庁「宿泊施設における生産性向上の促進」(宿泊施設の地域連携の事例集と調査結果を、2017年の調査として掲載)
- 観光庁「宿泊施設の地域連携に関する調査」結果(温泉街の宿3,000件と観光協会など587件への調査、宿の有効回答908件、泊食分離の実施32.0%、インバウンドの取り組み別の実施率、きっかけと効果、連携の形、観光協会などの答え、回答した宿の属性)
- 国土交通省近畿運輸局「泊食分離による宿泊業の生産性向上事業」(2026年3月23日更新)(吉野町の実証の背景、結果の要約、夜間の交通手段や人材確保などの課題)
- 近畿運輸局「泊食分離による宿泊業の生産性向上事業 成果報告(概要版)」(2025年11月の期間限定の店、117組302名、利用者アンケート180件と満足度、原価率約70%、取組パターンの例)
- 近畿運輸局「泊食分離による宿泊業の生産性向上事業 最終報告書」(2026年3月13日)(泊食分離の利点と欠点の整理、英語版アンケート14件、町内の宿への聞き取り、和倉温泉の取り組みと連泊率、セミナーで出た飲食店の営業時間の声)
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年の調査結果(確報)の概要」(2026年3月31日)(確報の公表日と、訪日外国人の範囲)
- 観光庁「インバウンド消費動向調査」2025年(令和7年)暦年【確報】集計表(表4-1 全国籍・地域の平均泊数9.5泊)
- 観光庁「宿泊旅行統計調査報告(令和7年1〜12月)」(表3 旅館に泊まった外国人の一人当たり平均宿泊数1.33泊と、旅館全体の1.20泊)