人間ドックは、自分で費用を払って受ける、一日がかりの予防のための健診です。名前は船のドックから来ています。長い航海を終えた船がドックに入って点検を受けるように、という考えで、日本人間ドック・予防医療学会によると、最初に組織的に行われたのは1954年7月12日、国立東京第一病院でした。海外から来る方をどう受け入れるかをはっきり示している東京の施設に、麻布台ヒルズの慶應義塾大学 予防医療センターと、六本木の東京ミッドタウンクリニックがあります。どちらも海外にお住まいの方は認めた医療渡航の会社を通してだけ受け入れ、主な結果はその日のうちに医師が説明します。
この記事では、海外から来る方の人間ドックがどのように手配されるのか、二つの施設がコース、料金、当日の流れについて何を公表しているのか、結果に何が書かれ、何が書かれないのか、そして前の晩と翌日を静かに過ごす方法をまとめます。2026年10月31日に各施設の公式の頁をあらためて読み、あわせて医療渡航支援の会社を認証する Medical Excellence JAPAN、JTB の医療渡航の窓口、日本の医学誌の論文二本、旅行と医療ツーリズムの業界報道を読みました。どこにも問い合わせはしていません。出典は末尾に挙げています。この記事は医療上の助言ではありません。健診で何が分かるかは、施設の医師にお尋ねください。
要点
- 慶應義塾大学 予防医療センターと東京ミッドタウンクリニックは、海外にお住まいの方を、認めた医療渡航の会社を通してだけ受け入れています。東京ミッドタウンクリニックは、海外の個人からの直接の予約は受け付けていないとしています。
- 東京ミッドタウンクリニックは、エグゼクティブ向けのコースを日本在住者向けに33万円から81万4,000円と公表し、訪日外国人向けの料金は異なるとしています。
- 慶應では検査は朝に始まり、ふつうは午後3時半から5時のあいだに終わります。昼食が付き、主な結果は医師がその日に説明します。2日間のコースでは大腸内視鏡が加わります。
- 慶應では、慶應が手配する医療通訳が必須で、費用がかかります。ご家族やご友人が通訳をすることや、健診のあいだ付き添うことはできません。
- 詳しい結果は郵送で届き、慶應はおよそ3週間後、東京ミッドタウンクリニックはおよそ1か月後です。JTB の窓口である JMHC は、結果が示すのは疑いであり、診断は医療機関での検査で確定すると伝えています。
人間ドックとは
一日の中身の例として、慶應の基本コースは、問診、身体計測、視力と聴力、腫瘍マーカーを含む血液検査と尿検査、肺機能、腹部超音波、心電図、低線量の胸部CT、希望すれば上部内視鏡を組み合わせ、最後に医師が結果を説明します。日本人間ドック・予防医療学会は、組織的な人間ドックの始まりを1954年7月12日の国立東京第一病院(いまの国立国際医療研究センター)とし、続いて聖路加国際病院など全国の病院に広がったと記しています。学会は2019年に7月12日を「人間ドックの日」として制定しました。
海外から人間ドックを受けに来る方は、10年以上前からいます。日本人間ドック学会の学会誌には、小倉記念病院の健診センターが2015年から2017年に中国からの旅行者22人の人間ドックを行い、通訳によって意思疎通の問題を最小限に抑えられたという報告があります。国立国際医療研究センターの医師らは2022年に、2019年には1,493人の外国人旅行者の人間ドックを受け入れ、その後の感染症の流行で2年間受け入れが止まったと書いています。医療ツーリズムの業界誌 IMTJ は2019年に、日本を訪れる中国の医療渡航者の多くは療養と健診が目的で、自分で旅を手配する人は少ないと報じました。トラベルボイスは2023年に、アリババの日本法人が Tmall Global で中国からの旅行者向けに健診を扱い始め、旅の前に選んで旅の途中に受けられるようにしたと伝えています。
海外の方を受け入れる東京の二つの施設
慶應義塾大学 予防医療センターは2012年に慶應義塾大学病院の一部として開かれ、2023年11月に麻布台ヒルズ 森JPタワーの広い階へ移りました。健診専門の施設で、治療や処方、救急は行いません。精密検査が必要な結果が出たときは、車でおよそ10分の慶應義塾大学病院などの医療機関を勧めます。問診票、案内、同意書、結果の報告書は英語でも用意しているとしています。
東京ミッドタウンクリニックは、六本木駅に直結するミッドタウン・タワーの6階にあります。年間5万人以上が健診に訪れ、2015年1月に、一般外来と健診・人間ドックを扱うクリニックとして日本で初めて国際的な医療機能評価機関 JCI の認証(外来診療プログラム)を受けたとしています。エグゼクティブ向けのコースは特別診察室で行われ、コンシェルジュが各検査へ案内します。英語に対応するスタッフが常駐しているとしています。
| 慶應義塾大学 予防医療センター | 東京ミッドタウンクリニック エグゼクティブ医療サービス | |
|---|---|---|
| 海外の方の申し込み | センターが認めた医療渡航の会社を通してだけ | 契約した代理店を通してだけ。個人からの直接の予約は受け付けない |
| コース | プレミアム(2日間、MRI 2種と大腸内視鏡を含む)またはエッセンシャル(1日、大腸内視鏡なし)。どちらも約3時間の基本コースが土台 | スーパーミッドタウンドック、同 Plus、同ロイヤル、同ロイヤル Plus |
| 公表している料金 | 英語の頁では公表していない | 日本在住者向けに33万円、55万円、59万4,000円、81万4,000円。訪日外国人向けの料金は異なる |
| 一日の長さ | 朝に始まり、ふつうは午後3時半から5時に終わる | 約6時間 |
| 言葉 | 慶應が手配する医療通訳(有料) | 英語対応のスタッフが常駐。通訳は代理店が手配 |
| 結果 | 当日に説明。詳しい報告書はおよそ3週間後に郵送 | 当日に診断できる範囲で説明。詳しい報告書はおよそ1か月後に郵送 |
慶應のプレミアムには、心臓と血管を中心にしたものと、女性の健康を中心にしたものの二つがあり、どちらも2日目に大腸内視鏡を行います。PET-CT を加えることもでき、これは慶應義塾大学病院で行うため、もう1日かかります。東京ミッドタウンクリニックは、ロイヤルをスーパーミッドタウンドックに約78項目の血液検査を加え、6か月後の血液検査と医師の診察が付くコース、Plus を3か月ごとの検査で一年を通して見るコースと説明しています。慶應は、どのプログラムも日本の健康保険の対象外としています。
海外からの手配の流れ
二つの施設はどちらも医療渡航の会社を通して受け入れます。Medical Excellence JAPAN(MEJ)は、こうした会社を AMTAC(Accredited Medical Travel Assistance Company)として認証しています。その一覧には JTB、Emergency Assistance Japan、BRISIAN、I-cell Networks の名があり、ほかに2社が暫定の認証を受けています。MEJ はその仕事を、受け入れる医療機関との調整、多言語の通訳、移動と宿泊の手配、医療費の支払いの代行と説明しています。また、医療渡航者を受け入れる病院を Japan International Hospitals として推奨し、専用の検索サイトで探せるようにしています。
JTB が運営する JMHC(Japan Medical & Health Tourism Center)は、健診の手順を次のように示しています。希望する施設と日程を申し込むと、JMHC が施設と日程を調整し、来日前に記入する問診票を案内します。費用は全額を前払いし、入金の確認後に身元保証書を発行します。医療滞在ビザの取得も、来日前の準備として支援するとしています。東京ミッドタウンクリニックでは、代理店を通した事前の振込みで支払い、当日に追加した検査の分だけをクリニックで払います。慶應の申し込みの頁には受診当日に全額を現金かカードで支払うとあるので、どちらになるかは手配の会社にご確認ください。
取り消しの規定も公表されています。慶應は15日前までは無料、14日前から8日前は20%、7日前から前日は30%、当日は100%で、日程の変更にも同じ規定が当てはまります。東京ミッドタウンクリニックは、エグゼクティブのコースについて、7日前から前日は10%、当日は50%、連絡のない取り消しは100%としています。慶應は1年先まで予約を受け付けています。
当日のこと
JMHC は、受付はたいてい朝早いので、前日に日本に着いて休んでおくよう勧めています。慶應は予約の15分前に着くよう求め、遅れると検査の日程を変えるか取り消しになることがあるとしています。食事の制限は事前に届く案内に書かれており、慶應はおよそ2週間前に問診票と一緒に送ります。東京ミッドタウンクリニックも、食事の制限を「検査注意事項」として事前に送ります。聖路加国際病院附属クリニック 予防医療センターからは、知っておくとよいお知らせが出ています。マンジャロなどの GLP-1/GIP 受容体作動薬を1週間以内に使った方は、胃の動きが遅くなるため、そこでは胃の検査が受けられません。休薬については、必ず処方した医師に相談するよう求めています。
慶應では、朝に看護師との面談があり、続いて検査を受け、決まった休憩の時間にセンターで昼食をとります。大腸内視鏡は当日に下剤を飲む前処置が必要で、前処置は10時ごろに始まり、検査は午後1時以降です。前処置の場所は、トイレの付いた個室か、一部をカーテンで仕切った準個室から選べます。個室の更衣室は1万1,000円です。静かな環境を保つため、健診のあいだご家族やご友人の付き添いはできず、16歳以下のお子さまは施設に入れません。年齢の目安も公表されていて、上部内視鏡は85歳まで、大腸内視鏡は80歳まで、80歳を超える方には鎮静剤を使いません。ペースメーカー、一部の金属の埋め込み、金属を含む入れ墨やアートメイクがある方は MRI を受けられないので、申し込みのときにお伝えください。
東京ミッドタウンクリニックでは、コンシェルジュが出迎えて特別診察室へ案内し、各検査室へも付き添います。最後に医師の診察と当日の結果説明があり、全体でおよそ6時間です。胃カメラのあとは、食事まで30分から1時間ほどあけるよう求めています。
結果について
二つの施設とも、主な結果は帰る前に説明します。詳しい報告書は郵送で届き、慶應はおよそ3週間後、東京ミッドタウンクリニックはおよそ1か月後です。JMHC は、結果が手元に届くのは帰国後およそ1か月から1か月半としています。JMHC は健診で分かることについてもはっきり書いています。結果が示すのは「疑い」であり、最終的な診断は医療機関での検査で確定します。慶應は、結果によっては3か月から6か月以内の追加の検査を勧めること、精密検査や治療が必要なときは慶應義塾大学病院やほかの病院を紹介することを記しています。内視鏡で生検をした場合は、そのあとに制限がかかることがあるとしています。
海外から受ける方は、旅の前に二つのことを決めておくと安心です。報告書を受け取ってもらう地元の医師を誰にするか、そして追加の検査が必要になったとき、日本で受けるのか自国で受けるのかです。慶應では、画像のデータを CD で1,100円でお渡ししています。
前の晩と翌日
健診の日は朝が早く、ほかのことをする余裕はあまり残りません。だからこそ、その前後の滞在が大切になります。慶應のアクセスの頁は、麻布台ヒルズの近くのホテルとして、The Okura Tokyo、ジャヌ東京、ザ・リッツ・カールトン東京を挙げています。森JPタワーの地下1階にはタクシーの車寄せがあり、雨に濡れずにメインロビーへ入れます。羽田空港からは17キロです。東京ミッドタウンクリニックは六本木駅から直結です。
前の晩は、絶食の時間に間に合うよう早めに軽い夕食をとり、9時には静かな部屋で休みます。当日の朝は、施設が指定した時刻に車が玄関で待っています。結果を聞いたあとは、ゆっくり歩き、ご飯とお味噌汁と小鉢のような簡素な食事をとる程度にして、翌朝は予定を入れずにおきます。鎮静剤を使ったときや生検をしたときには、いずれにしてもそのほうが安心です。長い旅の中に健診を入れるなら、旅の初めのほうに置くと、医師が追加の検査を勧めたときにも、日本を発つ前に受ける時間をつくれます。
STAYGO がお手伝いできること
STAYGO は東京を拠点に、日本各地の個人旅行を計画しています。健診そのものは、施設が認めた医療渡航の会社が申し込み、支払い、通訳までを受け持ちます。STAYGO はそうした会社ではありません。私たちが手配するのはその周りのことです。前の晩のホテル、車寄せを知っている車、軽い夕食、そしてその日の体調に合わせたその後の日々。施設と手配の会社がすでに決まっていれば、健診の日をお知らせください。その日を軸に、旅の残りを組み立てます。手配はすべてお客様のお名前で行い、ホテル、運転手、お店にはそれぞれの料金で直接お支払いいただきます。私たちが手数料や上乗せをいただくことはありません。旅は7日から14日の Signature プランで、より長い旅や込み入った旅は Bespoke で計画します。
出典と確かめ方
2026年10月31日に下の頁を読みました。コース、料金、決まりごと、当日の流れは各施設の公式の頁、海外からの手配の仕組みは Medical Excellence JAPAN と JMHC、人間ドックの歴史は学会、海外の方の受診の様子は論文二本と業界報道二本によります。施設、会社、著者のどこにも問い合わせていません。料金、決まりごと、時間はその日に公表されていたもので、変わることがあります。訪日外国人向けの料金は手配の会社から示されます。外務省の医療滞在ビザの頁はその日に読むことができなかったため、JMHC が書いていることだけを記しました。
- 慶應義塾大学 予防医療センター「Comprehensive Medical Check-up」(英語)、「FAQ」、「Step-by-Step Guide」:海外の方の手配の会社、時間、昼食、追加の費用、取り消し、付き添い、年齢の目安、結果
- 慶應義塾大学 予防医療センター「Screening Packages」(英語)と「Appointment Request Form」:プレミアムとエッセンシャル、基本コース、PET-CT、通訳の決まり、支払い
- 慶應義塾大学 予防医療センター「Map/Access」(英語)と「Keio University Hospital」:タクシーの車寄せ、近くのホテル、羽田からの距離、センターの歩み
- 慶應義塾大学 予防医療センター「検査メニュー」:大腸内視鏡の前処置の場所
- 東京ミッドタウンクリニック「エグゼクティブ医療サービス 料金・コース」と「プレミアム人間ドックの流れ」:料金、所要時間、コンシェルジュ、結果、取り消し
- 東京ミッドタウンクリニック「訪日外国人向けサービス」:代理店を通した予約、通訳、支払い、年間の受診者数、JCI の認証
- 東京ミッドタウンクリニック「健康診断・人間ドック よくあるご質問」:食事の制限、胃カメラのあとの食事
- 聖路加国際病院附属クリニック 予防医療センター:2026年8月18日のお知らせ(GLP-1/GIP 受容体作動薬と胃の検査)
- 日本人間ドック・予防医療学会「7月12日は人間ドックの日」:1954年の最初の人間ドック、名前の由来
- Medical Excellence JAPAN「Accredited Medical Travel Assistance Company」(英語)と「Japan International Hospitals」:認証を受けた会社とその仕事
- JMHC(JTB)「Flow of Medical Consultation」(英語):申し込み、前払い、身元保証書、ビザ、前日の来日、結果
- Lu J. ほか、GHM Open、2022年(英語):2019年に国立国際医療研究センターで人間ドックを受けた外国人旅行者
- Obuchi M.「Our Experience of Performing Ningen Dock for Foreign Tourists」人間ドック、2018年(英語の要旨):小倉記念病院での中国からの旅行者の受診
- IMTJ「Why Chinese medical tourists are heading to Japan」2019年(英語):何のために来るのか、どう手配するのか
- トラベルボイス「アリババ、訪日中国人旅行者向け『医療ツーリズム』事業を開始」2023年:旅の前に選び、旅の途中に受ける健診
よくあるご質問
旅行者でも日本で人間ドックを受けられますか
受けられます。慶應義塾大学 予防医療センターと東京ミッドタウンクリニックは、海外にお住まいの方を、認めた医療渡航の会社を通して受け入れています。東京ミッドタウンクリニックは、海外の個人からの直接の予約は受け付けていないとしています。
東京の人間ドックの費用はどのくらいですか
東京ミッドタウンクリニックは、エグゼクティブ向けのコースを日本在住者向けに33万円から81万4,000円と公表し、訪日外国人向けの料金は異なるとしています。慶應は英語の頁で料金を公表していません。ご自身のコースの料金は手配の会社から示されます。慶應は、日本の健康保険の対象外としています。
人間ドックにはどのくらい時間がかかりますか
東京ミッドタウンクリニックのエグゼクティブのコースはおよそ6時間です。慶應では検査が朝に始まり、ふつうは午後3時半から5時のあいだに終わります。プレミアムでは、大腸内視鏡のためにもう1日かかります。
結果は英語で受け取れますか
慶應は、問診票、案内、同意書、結果の報告書を英語でも用意しているとしています。主な結果は当日に医療通訳を交えて医師が説明し、詳しい報告書はおよそ3週間後に郵送で届きます。
健診のために医療ビザは必要ですか
お持ちの旅券と予定によります。JTB の JMHC は、医療滞在ビザの取得を来日前の準備として支援するとし、支払いのあとに身元保証書を発行します。航空券を決める前に、手配の会社にご確認ください。
健診に合わせた滞在をご相談ください
健診の日が決まりましたらお知らせください。前の晩の静かな部屋、玄関までの車、そのあとのゆったりした日々を整えます。
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