毎日使う家具には、硬くて重い欅(ケヤキ)と楢(ナラ、日本のオーク)が向き、食卓や大きな家具に使われます。檜(ヒノキ)は香りと艶、腐りにくさで重んじられ、杉(スギ)は軽くて動かしやすく、桐は世界でも指折りの軽い木で、昔から箪笥の材です。食卓には硬さ、動かす家具には軽さ、寝室には香りと落ち着いた色、と使い道で選ぶと決めやすくなります。

5種の木をひと目で
以下の説明は、林野庁が公開している資料と、日本政府が発信した箪笥づくりの記事をもとにしています。2種は人工林に広く植えられた針葉樹、3種は広葉樹です。
- 檜(ヒノキ):針葉樹。きめが細かく手触りがなめらかで、気持ちを落ち着かせる香りがあります。耐久性が高く腐りにくい木です。神社仏閣、風呂、寝室の家具、まな板に使われます。
- 杉(スギ):針葉樹。とても軽く、赤褐色の芯と白い外側の色の差がはっきりしていて、ほのかに甘い香りがします。床材、軽いテーブル、よく動かす家具に使われます。
- 桐(キリ):広葉樹。非常に軽く、色が白い木です。衣類や着物を納める箪笥の伝統的な材です。
- 欅(ケヤキ):広葉樹。硬くて重く、くっきりした木目と赤からオレンジの色味があります。大黒柱、梁、寺院建築、和家具、漆塗りの盆や椀に使われます。
- 楢(ナラ、日本のオーク):広葉樹。硬くて重く、反りや傷に強く、虎斑(とらふ)と呼ばれる模様が出ることがあります。大型の家具、床材、ウイスキーの樽に使われます。
檜(ヒノキ)
檜はまっすぐに育ち、加工がしやすい木です。林野庁は、色が美しく艶があり、香りがよく、耐久性に優れて腐りにくいと説明しており、そのため古くから宮殿や神社仏閣に使われてきました。林野庁が世界最古の木造建築と紹介する奈良の法隆寺は、その代表例です。
香りのもとの一つは、木に含まれるヒノキチオールという成分です。林野庁北海道森林管理局の釧路の事務所が2020年に公開した資料は、檜は伐ってから約200年は強くなり続けると言われていること、まな板などの台所用品にも使われることを紹介しています。
住まいでは、ベッドの枠、棚、風呂椅子、小さなテーブルに向きます。針葉樹なので、毎日使う面にはどの仕上げがよいか、作り手に聞いてみてください。
杉(スギ)
杉は成長が早くまっすぐに伸び、日本では古くから植林されてきました。林野庁によると、杉と檜の林は日本の人工林面積の約7割を占め(2022年3月31日現在)、そのうち最も広いのが杉です。
釧路の資料は、杉はとても軽いので家具が持ち運びやすく、折りたたみのテーブルやよく動かす家具に向くと説明しています。湿気を逃がしやすいため、反りなどの狂いが出にくいとも書かれています。芯は赤褐色やピンク、外側は白っぽく、この色の差を床や天板で楽しむ人も多くいます。
軽さを生かして、玄関のベンチ、畳の部屋の座卓、棚に選ぶとよいでしょう。
桐と箪笥
桐は、衣類を納める伝統的な箪笥の材です。日本政府が発信する「Highlighting Japan」の2017年の記事は、桐をバルサに次ぐ軽さの木と紹介し、強度が十分でないため日本の外では家具にほとんど使われないと伝えています。新潟県加茂市では220年以上前から桐箪笥がつくられており、作り手は製材した木を1年から3年ほど屋外に置いてから使います。
愛知県は、1981年に伝統的工芸品に指定された名古屋桐箪笥を、湿気を防ぎ、熱を通さず、狂いが少ないことで知られると紹介しています。どれも衣類を納める箪笥に求められる性質です。
強度に限りがあるので、桐の箪笥は毎日酷使する家具より収納に向きます。手入れの方法と、表面に仕上げがしてあるか素地のままかを作り手に確かめてください。
欅(ケヤキ)
欅は大きく、硬く、重い木に育ち、古くから日本の家の大黒柱や梁に使われてきました。釧路の資料は、木目がくっきりと美しく、強くて狂いが少ない木であり、日本で最良の広葉樹の一つとして扱われ、寺院の建築に欠かせなかったと紹介しています。
和家具のほか、漆塗りの盆や椀、和太鼓、餅つきの臼にも使われます。食卓や箪笥に使えば、重さと存在感が生まれます。一枚ごとの木目がよく目立つので、つくる前に実際に使う板の写真を見せてもらいましょう。
楢(ナラ、日本のオーク)
楢、とくにミズナラは日本のオークです。釧路の資料によると、日本・中国・ロシアでとれるものを一般に楢、北米でとれるものをオークと呼び、性質も色味も似ているため同じ種類として扱われることもあります。
楢は重くて硬いので反りや傷に強く、大型の家具や床材に使われます。木目に虎の毛並みのような模様(虎斑)が出ることがあり、好みは分かれますが、資料はこの模様が出る部分が最も硬いと言われていると書いています。ウイスキーの樽にも使われます。
Japandi の部屋にヨーロッパのオークの家具がすでにあるなら、楢はその隣に自然になじみ、しかも日本でつくられた家具になります。
木の産地と、作り手に聞くこと
林野庁によると、日本の人工林は約1,009万ヘクタールで、森林面積の約4割にあたります(2022年3月31日現在)。それでも、日本で使われる木材の多くは輸入です。林野庁が2025年11月に公表した2024年の木材需給表では、木材自給率は42.5%でした。「日本の家具」と書かれていても、輸入材を使って日本でつくられたものの場合があります。
民藝(日本の手仕事)や特定の産地の家具に惹かれるなら、木がどこで育ったかを聞いてみてください。注文の前に、次のことを確かめておくと安心です。湿気の多い夏のあいだ閉めきる家なら、なおさらです。
- 木はどこで育ったものですか。無垢材ですか、突き板ですか
- どのくらいの期間乾燥させましたか。湿気でどの程度動くと見込んでいますか
- 仕上げは何ですか。オイル、漆、合成の塗装のどれですか
- どのように手入れすればよいですか。将来、塗り直しはできますか
STAYGO ATELIER にできること
STAYGO ATELIER は、日本各地の作り手から日本の木の家具をデザイナーの目で選び、ご判断の前に、上の質問を作り手にお客様に代わって確かめます。そのうえで購入と配送を手配します。代金は作り手へ直接お支払いいただきます。ご自宅への訪問や設置はしていません。
よくいただく質問
食卓に向く日本の木はどれですか
どの食卓にも合う一つの木はありませんが、毎日使う食卓には、硬くて重い欅と楢がよく選ばれます。檜と杉は軽い木なので、食卓にする場合はどの仕上げがよいか作り手に聞いてください。
檜は何に使われますか
檜は古くから神社仏閣や宮殿に使われ、今は風呂、ベッドの枠、棚、まな板にも使われます。林野庁は、耐久性が高く腐りにくく、香りのよい木と説明しています。
檜と杉の違いは何ですか
どちらも人工林に広く植えられた日本の針葉樹です。檜は艶、香り、耐久性で重んじられ、杉はより軽くやわらかく、赤褐色の芯と白い外側の色の差がはっきりしています。
箪笥はなぜ桐でつくられるのですか
桐は非常に軽く、愛知県は名古屋桐箪笥を、湿気を防ぎ、熱を通さず、狂いが少ないと紹介しています。衣類や書類の収納に合う性質です。強度に限りがあるので、毎日酷使するより収納に向きます。
出典
- Forestry Agency, Hokkaido Regional Forest Office, Kushiro Forest Management Center, 木工クラフト (Woodworking craft: tree species for building and furniture, Japanese) (2020)
- Forestry Agency, Kinki Chugoku Regional Forest Office, ヒノキ (Hinoki, Japanese) (2026)
- Forestry Agency, スギ・ヒノキ林に関するデータ (Data on sugi and hinoki forests, Japanese) (2022)
- Forestry Agency, 令和6年(2024年)木材需給表 (Wood supply and demand table 2024, press release, Japanese) (2025)
- Government of Japan, Highlighting Japan, Lords of the Tansu (2017)
- Aichi Prefecture, 名古屋桐箪笥 (Nagoya kiri chests, Japanese) (2026)


