東京消防庁は、次の三つを順に行うよう勧めています。寝る場所や座って過ごす部屋に背の高い家具を置かないこと。残る家具は、ドアをふさいだり人の上に倒れたりしない位置に配置すること。そのうえで一つずつ固定することです。固定では、丈夫な壁にネジとL型金具で留める方法が最も効果的です。穴を開けられない場合は、突っ張り棒式とストッパー式または粘着マット式を組み合わせると、L型金具とほぼ同等の効果が期待できるとしています。マンションでは、構造上の壁に何かを固定する前に管理会社にご確認ください。

東京の地震で家具が問題になる理由
東京消防庁の「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」によると、近年国内で発生した地震では、けがの原因の約30〜50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした。東京都も2026年7月、災害後に自宅で安全に過ごすための在宅避難のキャンペーンで、この数字を改めて示しています。
ハンドブックは三つの危険を挙げています。けが、火災(たとえば落ちた物が暖房器具のスイッチを入れてしまうこと)、そして避難の妨げです。倒れた収納家具や勢いよく飛び出した引き出しで、ドアまでたどり着けなくなることがあります。
建物の中の高さも関わります。2011年の東日本大震災後の東京消防庁の調査では、家具類が転倒・落下・移動した住戸は、1〜2階で16.8%、11階以上で47.2%でした。東京消防庁はその一因として、高層階を大きくゆっくり揺らす長周期地震動を挙げ、おおむね10階以上にお住まいの方には、転倒に加えて移動の防止も勧めています。
まずは配置 寝室とドアと避難経路
東京消防庁は、器具より先に置き場所から考えます。ハンドブックでは、押し入れや作り付けの収納を使って生活空間にはできるだけ家具を置かないこと、寝る場所や座る場所には背の高い物を置かないことを求めています。どうしても置く場合は、背の低い家具を選ぶか、ベッドの上に倒れない向きに置きます。
廊下やドアのまわりは空けておき、家具がどちらへ倒れるかも考えます。倒れた収納家具でドアが開かなくなることのない配置にします。重い物は下の段へ。窓の近くには、外へ落ちるおそれのある重い物や不安定な物を置かないようにします。
ここで間(何も置かずに残す、息のつける余白)が実際に役立ちます。低いベッドと低いチェストだけで、頭より高い物がない寝室は、見た目に落ち着き、落ちてくる物もほとんどありません。ハンドブックはまた、寝室や廊下など家の中に安全な場所を決め、厚手の手袋と丈夫な履物を置いておくことも勧めています。
東京消防庁が勧める固定の方法
東京消防庁は、震度6強相当の揺れで家具の固定器具を試験しました。結論は次のとおりです。
- 家具をネジとL型金具で壁に直接固定する方法が最も効果的です。壁にはネジを保持できる強度が必要です。
- 家具と壁の両方にネジで留めるプレート式、ベルト式・チェーン式も効果があります。
- 家具の上部と天井の間に設置する突っ張り棒式は、その圧力に耐えられる強度の天井が必要です。
- 家具の前の下に差し込むストッパー式や粘着マット式は、背の高い家具では単独ではあまり効果がありません。突っ張り棒式と組み合わせると、L型金具とほぼ同等の効果が期待できます。
- チェストの上に収納棚を載せたものなど、二段重ねの家具は連結金具でつなぎます。
- キャスター付きで普段動かさない家具にはキャスター受け皿や着脱式のベルトを付け、オープン棚には中の物が飛び出さないよう棒やベルトを付けると効果的です。
マンションで穴を開けずに固定する
国のマンション標準管理規約を基にした多くの管理規約では、壁・床・天井のうち建物の構造躯体にあたる部分は共用部分とされ、内装の仕上げ部分は専有部分とされています。マンション標準管理規約の第17条(2026年4月の英語仮訳による)は、共用部分に影響を及ぼすおそれのある工事について、区分所有者が事前に管理組合へ申請し承認を受けるよう定めています。コンクリートの壁にネジを打つ前に、お住まいの建物の規約で何が認められているかを管理会社にご確認ください。
室内の壁の多くは、下地の骨組みの上に石膏ボードを張ったものです。東京消防庁のハンドブックでは、L型金具は長い木ネジを使ってボードの裏の間柱などの下地に留める必要があるとし、下地センサーや下地探し用の針、たたいた音で探すよう勧めています。固定する前に、下地の位置を管理会社や取付業者にご確認ください。
穴を開けられない場合に東京消防庁が示す方法は、突っ張り棒式とストッパー式または粘着マット式のように、穴を開けない器具を二つ組み合わせることです。家具の形も助けになります。突っ張り棒がしっかり押さえられる天板、広い底面、連結できる二段重ねの家具です。
東京消防庁はまた、免震は揺れを小さくするものの、揺れがなくなるわけではないと指摘しています。2016年の熊本地震後の調査では、免震構造のマンションで家具類が転倒・落下・移動した割合はほかのマンションの約半分でしたが、それでも約30%の世帯で起きていました。
ガラスと照明と棚の上の物
総務省消防庁は、中の物が飛び出さないよう引き出しや開き戸にストッパーを付け、ガラス戸には飛散防止フィルムを貼るよう勧めています。東京消防庁はさらに、吊り下げ式の照明は長周期地震動で大きく揺れることがあるため、ベッドや食卓の上のペンダントライトは一度考え直す価値があるとしています。
陶磁器やガラス、工芸品を飾るなら、縁のある棚や目立たない落下防止バーの付いた棚を選び、重い物は低い位置に置きます。目の高さのオープン棚より、扉に留め具の付いたキャビネットの方が収集品をよく守ります。
東京の各区で受けられる無償の器具
総務省消防庁は、無償の器具や取付けの助成について、お住まいの市区町村に問い合わせるよう勧めています。たとえば港区は、区内に住み住民登録をしている世帯に、突っ張り棒、ベルト、粘着マット、ガラスフィルムなどの器具を無償で提供しており、高齢の方の世帯など一部の世帯には取付けの支援もあります。海外にお住まいで区に住民登録のない所有者は対象にならない場合がありますので、条件を区役所にご確認ください。
東京消防庁によると、器具は数百円から数千円で、家具店、ホームセンター、百貨店の防災用品売り場などで販売されています。地域の工務店やシルバー人材センターには、取付けを行っているところもあります。
STAYGO ATELIER にできること
STAYGO ATELIER は、地震を考えて家具を選ぶことができます。寝室には背の低い家具、留め具付きの扉のキャビネット、連結できる二段重ねの家具、突っ張り棒が使える形のものです。注文と配送は私たちが手配します。家具の固定と建物からの承認は、お客様ご自身で管理会社や取付業者と手配していただきます。
よくいただく質問
日本では家具を固定する必要がありますか?
東京都震災対策条例は、都民に家具類の転倒防止に努めるよう求めています。これは努力義務で、高さの基準は定められていません。東京消防庁は、背が高く重い家具から対策するよう勧めています。
マンションで家具を壁に固定できますか?
構造上の壁は通常、管理規約で共用部分とされているため、穴を開ける前に管理会社にご確認ください。穴を開けられない場合、東京消防庁は突っ張り棒式とストッパー式または粘着マット式の組み合わせを勧めています。
免震の建物なら固定しなくても安全ですか?
いいえ。東京消防庁の熊本地震の調査では、免震構造のマンションでも約30%の世帯で家具類が転倒・落下・移動していました。
海外に住んでいる場合、固定器具はだれが取り付けますか?
東京消防庁によると、地域の工務店やシルバー人材センターには取付けを行っているところがあります。日本で信頼できる方と手配し、どのように固定するかを事前に取り決めておいてください。
この記事は一般的な情報をお伝えするものです。個別のケースについては、建物の管理会社、建築士、または関係する区役所や消防署にご相談ください。
出典
- Tokyo Fire Department, Handbook on preventing furniture from toppling, falling and moving (家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック) (2023)
- Tokyo Fire Department, Furniture fall prevention: frequently asked questions (よくあるご質問) (n.d.)
- Fire and Disaster Management Agency, Disaster preparedness manual: Furniture from toppling over (n.d.)
- Tokyo Metropolitan Government, Implementation of the Stay-at-Home Evacuation Campaign (2026)
- Minato City, Subsidy for furniture fall prevention devices (家具転倒防止器具等助成のご案内) (2026)
- Condominium Management Center, Standard Condominium Management Bylaws (Single Building Type), English provisional translation (2026)


