日本のマンションでは、床のフローリング、配管の変更、ユニットバスの設置、躯体に直接取り付けるエアコン、間取りの変更など、共用部分やほかの住戸に影響するおそれのある専有部分の工事には、着工前に管理組合の承認が要り、設計図・仕様書・工程表を添えて申請します。承認が要らない小さな工事でも、業者の出入りや音が建物に及ぶものは、多くの場合事前の届出が求められます。置き家具を置くことは工事にあたりません。細かな決まりはお住まいの建物の管理規約と使用細則にあり、多くの建物は国土交通省(国交省)が公表しているひな形をもとにしています。

区分所有者は建物を分け合っています
日本でマンションの一室を買うと、その住戸に加えて、躯体・外観・廊下・エレベーター・共用の配管など、それ以外の部分の持分も持つことになります。国交省が外国人の区分所有者向けに作った英語の冊子(2026年3月)は、区分所有者は自分の住戸だけでなく共用部分にも責任を負い、その役目は全員が加わる管理組合(kanri kumiai)を通じて果たすと説明しています。
国交省のマンション標準管理規約は、この二つの境目を定めています。天井・床・壁は、躯体の部分を除いて専有部分です。玄関扉は、錠と内側の塗装部分だけが専有部分です。窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれません(第7条)。バルコニー・玄関扉・窓は、区分所有者が専用使用権を持つ共用部分です(第14条)。床スラブ、共用の縦管、パイプスペースも共用部分です(別表第2)。
管理規約とその読み方
建物ごとに管理規約(kanri kiyaku)があり、国交省の冊子はこれを建物の最高の決まりと呼んでいます。区分所有者にも賃借人にも適用されます。多くは国交省のマンション標準管理規約をもとにしており、その最新の改正は2025年10月17日です。2026年4月にはマンション管理センターが標準管理規約の英訳(仮訳)を公表しました。同センターは、これは公定訳ではないと断っています。
標準管理規約は、建物の使い方の細かな決まりを別の使用細則に委ねています(第18条)。工事の時間、搬入、申請書の様式がそこに定められているかどうかを確かめてください。管理会社に管理規約と使用細則の両方、そして申請書そのものを求めましょう。建物ごとの決まりは標準管理規約と違うことがあります。標準管理規約は何を聞けばよいかの手がかりになり、答えはお手元の規約にあります。
理事会の承認が要る主な工事
標準管理規約の第17条では、専有部分の修繕・模様替えや、建物に付属する設備の取付け・取替えのうち、共用部分やほかの専有部分に影響するおそれのあるものを行うときは、理事長に申請し、あらかじめ承認を受けます。申請には設計図・仕様書・工程表を添えます。承認するかどうかは理事会の決議で決まり、理事長またはその指定する者が工事の現場を調べることができます。工事のあとで共用部分やほかの専有部分に影響が出た場合は、工事を発注した区分所有者が自分の責任と費用で必要な措置をとります。
国交省の第17条関係コメントは、承認が要る工事の例として次のものを挙げています。
- 床のフローリング
- ユニットバスの設置
- 主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置
- 配管・配線の枝管・枝線の取付けや取替え
- 間取りの変更
床材と遮音等級
足音は下の住戸に伝わるため、床材は近隣に直接影響します。コメントの別添2にある国交省の考え方では、床材を張り替える工事の承認の条件は、新築時と同等以上の遮音性能を確かめることです。また、フローリングの影響は構造・工事の仕様・材料によって異なるため、専門家の確認が必要だとしています。
別添2は二つの例を示しています。新築時からフローリングのマンションでは、使うフローリングの遮音等級が新築時と同等以上であり、カタログどおりの施工であることを確かめます。新築時はカーペット敷きでスラブが薄い築年数の古いマンションでは、承認の条件として遮音等級の下限を示すことが考えられます。求められる等級は建物ごとに決まります。これらの等級を英語で説明した公式の資料は見つけられませんでした。管理会社に求められる値を書面で確かめ、床材を選ぶ前に施工会社へ伝えてください。
窓・玄関扉・バルコニーと躯体
窓と玄関扉は共用部分なので、標準管理規約では、その改良工事は管理組合が計画修繕として行うことになっています(第22条)。管理組合がすぐに行えない場合は、承認を受けたうえで区分所有者が自分の費用で工事できます。国交省の考え方では、理事会は色・形・位置と、防犯性や遮音性が下がらないかを確かめます。
エアコンの室外機など、あらかじめ決められた場所以外でバルコニーに物を固定する工事には承認が要り、理事会は避難の妨げ、防水層への影響、躯体へのボルトの打込みがないかを確かめます。躯体コンクリートへの穴あけやアンカーボルトの打込みにも承認が要ります。これは家具にも関わります。棚や背の高い収納を壁に固定する前に、その壁が躯体かどうかを確かめてください。
工事の時間・近隣・届出
承認が要らない工事でも、届出が要ることがあります。標準管理規約の第17条第7項は、業者の立入り、資材の搬入、騒音・振動・臭いなどが周りに及ぶ工事について、事前に理事長へ届け出るよう求めています。国交省の考え方では、届出には工事の時間・内容・業者名を書き、騒音や振動を伴う工事は掲示などでほかの居住者に知らせることが望ましいとしています。
国交省の冊子も、日本のマンションでは静かな暮らしが大切にされ、音が近隣との関係を損ねることがあると強調しています。申請の前に工事の曜日と時間を施工会社と決め、それを守ってください。
ここに書いたことは一般的な情報です。お住まいの建物については、管理会社、建築士、または関係する窓口にお問い合わせください。
家具だけなら要らないこと
国交省の考え方は、ほかの住戸に影響がないため承認も届出も要らない工事の例として、電球、水道のパッキン、シャワーヘッド、温水洗浄便座の取替えを挙げています。置き家具・ラグ・照明・アートを選んで置くことは工事にあたらず、第17条の対象外です。ただし搬入は使用細則の対象になることがあるので、最初の搬入の前に、届出・時間・エレベーターの養生について確かめてください。
海外にお住まいの場合、国交省の冊子によると、2026年4月から日本に住所や居所のある人を国内管理人に選び、総会での議決権の行使や管理費の支払いなどを代わりに行ってもらえます。海外に住む区分所有者からの申請や届出をどのように受け付けているか、管理会社に確かめてください。
STAYGO ATELIER にできること
STAYGO ATELIER は、家具・照明・工芸・アートを選んで手配し、発送までを行います。工事を行ったり監理したりすることはありません。承認が要る工事もお考えの場合は、区分所有者として申請し、建築士事務所と施工会社とそれぞれ直接ご契約ください。私たちが手配する品の寸法と重さをお伝えし、工事の計画に役立てていただけます。
よくいただく質問
マンションのフローリングを張り替えるのに承認は要りますか
国交省の標準管理規約では、床のフローリングは理事会のあらかじめの承認が要る工事の例に挙げられています。遮音等級の下限を定めている建物もあるので、求められる値を管理会社に書面で確かめてください。
管理組合(kanri kumiai)とは何で、何を止められますか
区分所有者全員が加わる団体です。管理規約と理事会を通じて、共用部分やほかの住戸に影響するおそれのある工事について判断し、標準管理規約では、承認を受けずに行われた工事の差止めや原状回復を求めることができます。
窓や玄関扉は交換できますか
標準管理規約では、窓枠・窓ガラス・玄関扉は共用部分で、管理組合が計画修繕の中で改良します。管理組合がすぐに行えない場合に限り、承認を受けて区分所有者が工事できます。
家具を買うのに建物の許可は要りますか
置き家具を置くことは工事にあたらず、標準管理規約では承認は要りません。搬入、エレベーターの使用、躯体の壁への家具の固定は建物の決まりの対象になることがあるので、先に確かめてください。
この記事は、掲げた日付時点の国交省の標準管理規約と考え方にもとづく一般的な情報で、法的な助言ではありません。実際にはお住まいの建物の管理規約と使用細則が適用されます。個別の判断は、建物の管理会社、建築士、または関係する窓口にお問い合わせください。
出典
- Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism (MLIT), For Foreign Building Unit Owners: Condominium Management in Japan (first edition) (2026)
- Condominium Management Center, Standard Condominium Management Bylaws (Single Building Type), provisional English translation (2026)
- Condominium Management Center, announcement of the English translation (Japanese) (2026)
- MLIT, マンション標準管理規約(単棟型)コメント (Standard Condominium Management Bylaws with commentary and Attachment 2, Japanese) (2025)
- MLIT, マンション標準管理規約 (Standard Condominium Management Bylaws page, Japanese) (2025)


