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海外のお客様の無断キャンセルを防ぐ

連絡のないまま当日にお客様が来ない無断キャンセルは、館の決まりを前もって決め、予約の前と到着の前の二度、お客様に伝えておくことで減らせます。決めておくのは、前金をいただくか、取消料をいつから何割いただくか、連絡のないお客様を何時に取り消しとみなすか、の三つです。観光庁が示しているモデル宿泊約款にも、この三つにあたる定めがあります。この記事では、決まりの決め方、取消料の率を決めるときに知っておきたい法律、到着の前の連絡、当日の手順を順にまとめます。例文の中の時刻、日数、割合はどれも例です。
要点
- 決めておくのは、前金をいただくか、取消料をいつから何割いただくか、連絡のないお客様を何時に取り消しとみなすか、の三つです。
- 観光庁のモデル宿泊約款(最終改正 2023年12月13日)は、宿泊の期間(3日を超えるときは3日間)の基本宿泊料を限度とする申込金と、連絡のないまま着かないときに取り消したものとみなす時刻を定めています。率と時刻は館が決めて書き入れます。
- 消費者契約法第9条第1項第1号は、取り消しに伴う違約金のうち、事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効としています。率は館として理由を説明できるように決めます。
- 取り消しの条件は、予約の確認のメールに加えて、到着の前の聞き取りのメールにも短く添えます。
- 当日に着かないときの連絡の時刻、取り消しとみなす時刻、記録の残し方を、紙に書いておきます。
連絡のないまま来ないとき何が起きているか
連絡のないまま来ないお客様の中には、取り消すつもりのまま連絡を忘れた方もいれば、旅程が変わって連絡先が分からなかった方、遅れて着くつもりで向かっている途中の方もいます。館の側からは、どれなのかが当日まで分かりません。
防ぐ手立ては、お客様が取り消しや遅れを伝えやすくすること、伝えないままにしたときの決まりを先に知らせておくこと、館の損を前金で小さくしておくことの三つです。どれも、予約が入る前に館で決めておく必要があります。
館の決まりを先に決める
観光庁は、国際観光ホテル整備法にもとづいて登録したホテル・旅館向けに、モデル宿泊約款を示しています。最終改正は2023年12月13日で、英語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)の版もあります。登録していない館でも、自館の約款や予約の条件を見直すときの手がかりになります。モデル宿泊約款には、次の定めがあります。
- 申込金 宿泊契約が成り立ったら、宿泊の期間(3日を超えるときは3日間)の基本宿泊料を限度に、館が決めた申込金を、館が指定する日までに払ってもらいます。指定の日までに払われないときは、その旨を前もって告げていれば、契約は効力を失います。
- 違約金 お客様の都合で契約を取り消したときは、別表の率で違約金をいただきます。別表は、取り消しの連絡を受けた日ごとに、基本宿泊料に対する率を書く形で、連絡のないまま泊まらなかったときの「不泊」の欄もあります。率は館が決めて書き入れます。
- 連絡のないとき お客様が連絡をしないまま、宿泊の当日の午後何時(到着の予定の時刻を知らせてあるときは、その時刻から何時間か過ぎた時刻)になっても着かないときは、お客様が契約を取り消したものとみなすことがある、と定めています。時刻は館が決めて書き入れます。
まずは、館の今の約款と、公式サイトや予約サイトに書いている取り消しの条件が、同じ中身になっているかを確かめます。食い違っていると、当日にどちらで扱うかで揉めます。
取消料の率を決めるときに知っておくこと
消費者契約法第9条第1項第1号は、契約の取り消しに伴う違約金などを定めた条項のうち、同じ種類の契約の取り消しで事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効としています。取り消しの時期などの区分ごとに見ることになっています。
同じ条の第2項では、違約金を求めるときに、お客様から説明を求められたら、算定の根拠の概要を説明するよう努めることとされています。率は、取り消しの時期ごとに、その日から部屋を売り直せる見込みや、仕入れた食材のように取り返せない費用を考えて決め、館として理由を説明できるようにしておきます。
前金をいただく方法を決める
前金をいただくと決めたら、どこで払ってもらうかを経路ごとに決めます。
- 予約サイトからの予約 予約サイトの事前決済を使うか、館で払ってもらうかは、契約と管理画面の設定で決まります。今の設定を確かめます。
- 公式サイトからの予約 予約の画面で、カードで前金を払ってもらえるかを確かめます。
- メールでの予約 決済の会社の支払いのページを送って、そこで払ってもらいます。カードの番号をメールで送ってもらうことはしません。
支払いの案内の英語は支払い方法を英語で案内する書き方に、取り消しの条件の書き方はキャンセルポリシーを英語で書くときの例文にまとめています。
To confirm your reservation, we ask for a deposit of one night's room rate. Please pay by [date] using the payment link below.
ご予約を確定するため、1泊分のお部屋の料金を前金としてお願いしています。下の支払いのリンクから、[日付]までにお支払いください。
If we do not receive the deposit by [date], your reservation will be cancelled.
[日付]までに前金のお支払いが確かめられない場合、ご予約は取り消しとなります。
到着の前にもう一度伝える
取り消しの条件は、予約の確認のメールに書くだけでは読まれていないことがあります。到着の何日か前に、到着の時刻や食事の制限を尋ねるメールを送るときに、もう一度短く添えます。尋ね方は着く前の聞き取りの作り方にあります。
予約サイトからの予約で、お客様のメールアドレスが予約サイトの中継のアドレスになっている場合は、予約サイトのメッセージの機能から送ります。返事が来ないお客様には、前日にもう一度送ります。
We look forward to welcoming you on [date]. Could you let us know your expected arrival time?
[日付]のお越しをお待ちしております。到着のご予定の時刻をお知らせいただけますか。
If your plans change, please contact us at [email address]. Cancellations made 3 days or more before arrival are free of charge.
ご予定が変わったときは、[メールアドレス]までご連絡ください。到着の3日前までの取り消しは無料です。
If we have not heard from you by 21:00 on the day of arrival, we will treat your reservation as a no-show and charge the full room rate for the first night.
到着の当日21時までにご連絡がない場合は、ご予約を不泊として扱い、初日のお部屋の料金の全額を申し受けます。
当日に着かないときの手順
当日に着かないお客様がいたときに、その場の係が一人で決めなくて済むよう、手順を紙に書いておきます。
- 連絡を入れる時刻 到着の予定の時刻から何時間過ぎたら、誰が、どの連絡先に連絡するか。
- 取り消しとみなす時刻 約款と予約の条件に書いた時刻と同じにします。
- 記録 連絡した時刻、手段、返事の有無を、予約の記録に残します。予約サイトからの予約なら、予約サイトの決まりに沿って不泊の届けを出します。
- 翌朝の確認 夜のうちに連絡がついたお客様が、翌日に着くのか、取り消すのかを確かめます。
遅れて着くお客様への伝え方は到着の遅れと夕食の時刻を英語で伝えるにあります。
We were expecting you this evening. Are you still planning to arrive today? Please let us know by reply.
今晩のお越しをお待ちしておりました。本日のご到着のご予定に変わりはございませんか。ご返信でお知らせください。
まとめ
無断キャンセルを減らすには、前金、取消料の率と日、連絡のないお客様を取り消しとみなす時刻を館で決め、予約の前と到着の前の二度伝えます。率は、館の損から説明できる範囲で決めます。当日に着かないときの手順も紙に書いておきます。STAYGOコンサルティングの無料の簡易見立てでは、公式サイトと予約サイトを旅行アドバイザーの目線で拝見し、優先して直したい3点をお伝えします。
出典と調べ方
観光庁の国際観光ホテル整備法の頁、モデル宿泊約款(日本語版と英語版)、e-Gov法令検索の消費者契約法は、記事を書いた2026年10月5日に読んで確かめました。机上で調べたもので、観光庁や予約サイトに問い合わせてはいません。取消料の率のように館ごとに違う数は、記事に書いていません。
- 観光庁「国際観光ホテル整備法」(モデル宿泊約款と外国語版の掲載)
- 観光庁「モデル宿泊約款」(最終改正 令和5年12月13日)(第3条 申込金、第6条 宿泊客の契約解除権、別表第2 違約金)
- 観光庁「Terms and Conditions for Model Accommodation」(モデル宿泊約款の英語版)
- e-Gov法令検索「消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)」(第9条 損害賠償の額を予定する条項等の無効等)