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和食のお献立を英語で伝える

黒い盆にのった会席の先付と箸

旅館の夕食は、海外のお客様が旅の中で楽しみにしている時間です。お品書きが英語で読めると、一品ごとに何を食べているのかが分かり、料理を作った人の考えも届きます。一方で、料理名をそのまま訳すと意味が通らないことがあり、アレルギーのあるお客様には、何が入っているかが安全に関わります。この記事では、観光庁の英語解説文のマニュアルと、消費者庁の食物アレルギーの資料を確かめたうえで、お品書きの英訳の考え方、料理名と食材の書き方、アレルギーの表示との関係を、日本語訳つきの例文で並べます。

要点

  • お品書きの英語は、何の料理か、主な食材、味つけと食べ方、入っているアレルゲンを先に決めてから書きます。
  • 料理名は英語の訳語を先にし、日本語のローマ字を括弧で添えます。sushi、tofu、miso のように英語の辞書にある言葉はそのまま使います。
  • 消費者庁が表示を義務づけている特定原材料は、2026年4月1日から、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目です。
  • 英語では、どの品目について書いているかを示し、料理ごとに入っているものと、混ざる可能性を書きます。分からないことは分からないと答えます。
  • 食べ物の希望は到着の前に聞き、申し送りで調理場と食事処が同じ内容を見られるようにします。

英訳の前に考えること

観光庁の英語解説文のマニュアルは、日本人向けの日本語の解説をそのまま英語に訳しても意味が伝わる見込みは低いと書いています。日本人なら背景を知っていて分かることも、海外の旅行者は同じようには分からないからです。お品書きも同じで、字の訳より先に、お客様が知りたいことを決めます。

海外のお客様が一品ごとに知りたいのは、おおむね次の四つです。

  • 何の料理か 焼き物、煮物、蒸し物のような料理の種類。
  • 主な食材 魚や肉の種類、野菜、土地のもの。
  • 味つけと食べ方 たれ、塩、柚子など、何で味わうか。つけて食べるのか、そのままか。
  • 入っているアレルゲン 館で決めた品目のうち、何が入っているか。

観光庁の旅館Q&Aは、旅館の料理は土地の特産物や旬の素材を使った郷土料理であることが多いと海外の旅行者に伝えています。食材の産地や季節を一言添えると、その土地で食べる意味が伝わります。

料理名の書き方

同じマニュアルは、不自然でない限り英語の訳語を先にし、日本語のローマ字を括弧に入れて添える形をとるよう書いています。英語の説明が長くなる場合は日本語を先に出し、kotatsu (a table equipped with a heating device) のように後ろで説明します。sushi、tofu、miso、matcha、tempura のように英語の辞書にある言葉は、そのまま使えます。

訳語には気をつけたい例もあります。マニュアルは、日本酒は sake と書き、rice wine とは書かないこと、食べてなくなるものに souvenir を使わないことを挙げています。

Chawanmushi (savory egg custard) with shrimp and ginkgo nuts

茶碗蒸し 海老と銀杏

Sashimi of local sea bream and squid, with fresh wasabi

お造り 地物の鯛と烏賊 本わさび添え

Grilled ayu (sweetfish) with salt, served with a vinegar dipping sauce

鮎の塩焼き 蓼酢添え

Simmered dish (nimono): taro, carrot, and duck in a light soy broth

煮物 里芋、人参、鴨の薄味炊き

Rice cooked in an earthenware pot with chestnuts, miso soup, and pickles

栗の土鍋ご飯、味噌汁、香の物

どの料理名も、日本語の名前を残すのは、お客様が覚えて帰ると楽しい言葉に絞ります。全部にローマ字を添えると、かえって読みにくくなります。

食材を書く

食材は、お客様が自分の食べられるものを判断できる細かさで書きます。魚なら種類を、だしなら何から取ったかを書きます。ベジタリアンやヴィーガンのお客様にとっては、かつお節のだしや魚醤のように、目に見えない食材が分かれ目になります。食事の制限への応じ方はベジタリアンとヴィーガンのお客様の食事にまとめています。

The broth is made from kombu seaweed and bonito flakes.

だしは昆布とかつお節で取っています。

This dish contains pork.

この料理には豚肉が入っています。

Tonight's menu, October 7

本日のお献立 10月7日

アレルギーの表示との関係

消費者庁は、食品表示基準で特定原材料を定め、それを含む旨の表示を、容器包装された加工食品に義務づけています。2026年4月1日にカシューナッツが加わり、特定原材料は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目になりました。カシューナッツには2年間の経過措置期間があります。このほか、アーモンド、ピスタチオなど20品目を、特定原材料に準ずるものとして表示を勧めています。

館で作ってその場で出す料理について、消費者庁は外食や中食の事業者に向けた冊子で、情報を提供するときに気をつけることをまとめています。最新で正確な情報を出すこと、あいまいな答えをせず、分からないときは分からないと答えること、同じ調理器具や揚げ油などから意図せず混ざる可能性を伝えること、食べられるかどうかの判断はお客様にしていただくことです。定番の料理だけ、卵と乳と小麦だけのように、範囲をはっきりさせたうえで、正確に出せるところから始めることも、一つの方法として挙げています。

英語のお品書きでは、どの品目について書いているかを最初に示し、料理ごとに入っているものを並べます。

Allergens are listed for nine ingredients: shrimp, cashew nuts, crab, walnuts, wheat, buckwheat, egg, milk, and peanuts. Other ingredients may be present.

アレルゲンは、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目について記しています。ほかの食材が入っていることがあります。

Contains: wheat, egg, shrimp

含まれるもの:小麦、卵、えび

All dishes are prepared in the same kitchen, and fried dishes share the same oil. We cannot rule out traces of other ingredients.

すべての料理は同じ調理場で作り、揚げ物は同じ油を使っています。ほかの食材がわずかに混ざる可能性をなくすことはできません。

We are not sure whether this sauce contains sesame. We will check with the chef and let you know.

このたれに胡麻が入っているか、いまは分かりかねます。料理長に確かめてお知らせします。

冊子は、誤って食べてしまった事例として、予約のときに確かめたことが当日の担当に引き継がれていなかった例も挙げています。聞いた内容は、申し送りを日本語で1枚にまとめるの形で、調理場と食事処が同じ紙を見られるようにします。

着く前に聞いて伝える

観光庁の旅館Q&Aは、食べ物に希望がある人は、できれば数日前までに早めに旅館へ連絡するよう、海外の旅行者に勧めています。館からも、到着の前に聞いておきます。聞き取りの型は着く前の聞き取りの作り方にあります。

Does anyone in your group have a food allergy or any food they cannot eat? Please let us know at least three days before arrival.

ご一行の中に、食物アレルギーや召し上がれないものがある方はいらっしゃいますか。到着の3日前までにお知らせください。

If the allergy is severe, please tell us how small an amount causes a reaction, so that we can tell you honestly what we can prepare.

重いアレルギーの場合は、どのくらいの量で症状が出るかをお知らせください。お作りできることを、正直にお伝えします。

よくある質問

料理名は日本語のローマ字のままでもよいですか

観光庁の英語解説文のマニュアルは、ローマ字の日本語はなるべく控え、英語で説明しにくいものや、日本語を知ることが理解を深めるものに限って使うよう書いています。使うときは英語の説明を添えます。sushi、tofu、miso のように英語の辞書にある言葉は、そのまま使えます。

旅館の料理にもアレルギーの表示の義務はありますか

消費者庁は、特定原材料を含む旨の表示を、容器包装された加工食品に義務づけています。消費者庁は外食や中食の事業者向けに、食物アレルギーの情報を提供するときの注意をまとめた冊子を出しています。館で仕入れる包装された食材の表示は、料理の中身を確かめる手がかりになります。

お献立が毎日変わるときはどうすればよいですか

その日の日付を入れたお品書きを、料理ごとに使った食材とアレルゲンの控えと一緒に作ります。英語の説明は料理の型ごとに文を用意しておき、その日の食材を入れ替えます。控えは調理場と食事処で同じものを見られるようにします。

アレルギーに応じられないときはどう伝えればよいですか

観光庁の旅館Q&Aも、希望にいつも応えられるとは限らないと海外の旅行者に伝えています。応じられないことは、到着の前に、何ができないかと代わりに何ができるかを具体的に返します。食べられるかどうかの判断は、示した情報をもとにお客様にしていただきます。

まとめ

お品書きの英語は、字の訳より先に、何の料理か、主な食材、味つけと食べ方、入っているアレルゲンを決めます。料理名は英語を先にして日本語を括弧で添え、英語の辞書にある言葉はそのまま使います。アレルギーは、どの品目について書いているかを最初に示し、料理ごとに入っているものと、混ざる可能性を書きます。分からないことは分からないと答え、食べられるかどうかはお客様に判断していただきます。

出典と調べ方

四つの資料は、記事を書いた2026年10月7日に開いて読み、品目と言い回しを確かめました。机上で調べたもので、観光庁と消費者庁に問い合わせてはいません。

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