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旅行アドバイザーへの手数料の基本

海外の旅行アドバイザーから初めて問い合わせが届くと、手数料(コミッション)は払えますかと尋ねられることがあります。そのときに慌てないよう、払うのか、何に何パーセントを掛けるのか、いつどう払うのかを、先に決めて書いておきます。この記事では、手数料の基本の形を、ヒルトンが旅行会社向けに公開している方針と、国際航空運送協会(IATA)のTIDSの案内で確かめた範囲でまとめ、宿の側が決めておくことを並べます。率や額は館が決めることで、この記事はある率を勧めるものではありません。
要点
- 旅行会社との料金のやり取りには、宿が手数料を払う形(commissionable rate)と、宿が受け取る額を示す形(net rate)があります。
- ヒルトンの公開している方針は、最大10%、何に掛けるか、払う相手の番号、毎週の支払い、問い合わせの期限まで具体的に書いています。一つの会社の例です。
- IATAのTIDSは、ホテルチェーンなどが旅行の販売の仲介者を見分け、手数料を含む取引を管理するのに使われています。番号を予約の記録に控えます。
- 宿は、形、率と掛ける額、対象の料金、払う時期、取り消しと不泊の扱い、払い方、請求と記録を先に決めます。
- 決めたことは英語の短い文にして、旅行アドバイザーに渡す1枚と最初の返事に載せます。
二つの形
旅行会社と料金をやり取りする形には、大きく二つあります。言葉の意味は用語集にもあります。
- 手数料の形 お客様に示す料金は宿の料金のままで、予約が泊まりにつながったら、宿が旅行会社に手数料を払います。英語では commissionable rate と呼ばれます。
- ネット料金の形 宿は受け取る額を旅行会社に示し、旅行会社がそこに自分の取り分を足してお客様に示します。宿から手数料は払いません。英語では net rate と呼ばれます。
どちらの形にするかで、お客様が目にする料金、請求書を出す相手、取り消しのときの扱いが変わります。旅行アドバイザーが宿をお客様に勧めるときには、どちらの形かを最初に確かめます。
公開されている一つの例
決まりの組み立て方の例として、ヒルトンが旅行会社向けに公開している、個人の予約の手数料の方針を挙げます。一つの会社の方針で、業界の決まりではありません。
- 率 各ホテルは、一般向けの料金など手数料の対象となる料金に、最大10%の手数料を払うとしています。
- 何に掛けるか 米国、メキシコ、カナダでは室料だけに10%。それ以外の国では、税込みの室料に8%か、税抜きの室料に10%としています。
- 払う相手 IATAやTIDSなど、ヒルトンが認める団体に登録している旅行会社で、予約のときにその番号を伝えることが条件です。
- 払い方 手数料は毎週まとめて、旅行会社の選んだ通貨で払い、手数料の支払いには3%の処理の費用がかかるとしています。
- 問い合わせの期限 手数料についての問い合わせは、お客様が発ってから12か月以内としています。
率そのものより、何に掛けるか、誰に払うか、いつどう払うか、いつまで問い合わせを受けるかを、ここまで具体的に書いていることが参考になります。
相手を見分ける番号
手数料を払う相手が旅行会社であることを確かめるために、番号が使われています。IATAの案内によると、TIDSは、旅行の販売の仲介者による予約を、各社が見分けられるようにするための仕組みです。航空会社、ホテルやリゾートのチェーン、クルーズ会社、レンタカー会社、テーマパーク、鉄道会社などがこの番号を見分け、手数料を払うことを含む取引の管理に使っています。IATAは、TIDSの申し込みと毎年の更新の費用を2020年10月からなくしたと案内しています。米国の旅行会社はTIDSに申し込めず、IATAの米国の部門であるIATANが似た仕組みを設けていると、同じ案内にあります。
宿の側では、予約のときにIATAかTIDSの番号を伝えてもらい、予約の記録に控えておきます。番号のない相手とも取引はできますが、その場合は会社名と連絡先、払い先を書面で受け取っておきます。
宿が先に決めておくこと
手数料の決まりは、次の項目を一つずつ決めると、抜けなく書けます。
- 払うかどうかと形 手数料の形か、ネット料金の形か。両方を使うなら、どの相手にどちらか。
- 率と掛ける額 何パーセントか。室料だけか、夕食と朝食の代金を含むか。税、サービス料、入湯税を含むか。
- 対象の料金 公式サイトの一般の料金に払うのか。値引きのプランや連泊の割引にも払うのか。
- 払う時期 お客様が泊まって発ったあとに払うのか。毎月まとめて払うのか。
- 取り消しと不泊 取り消しや連絡なしの不泊で取消料を受け取ったときに、手数料を払うかどうか。
- 払い方 海外への送金か、ほかの方法か。送金の費用をどちらが持つか。どの通貨で払うか。
- 請求と記録 旅行会社から請求書を受け取るのか、宿から明細を送るのか。予約ごとに、相手、番号、率、額、払った日を一つの表に控えます。
お客様に示す料金が、公式サイトや予約サイトの料金と食い違っていないかも、あわせて確かめます。料金と取り消しの書き方は海外のお客様に伝わる料金と取り消しの書き方にあります。
決まりを英語で書く
決めたことは、旅行アドバイザーに渡す1枚や、最初の返事に短く載せます。率や日数はどれも例です。
We pay a 10% commission to travel advisors on the room and meal charges, excluding taxes, service charges and the bathing tax.
旅行アドバイザーの皆さまには、税、サービス料、入湯税を除いた宿泊と食事の代金に対し、10%の手数料をお支払いします。
Commission is paid by bank transfer at the end of the month following the guest's departure. Please include your IATA or TIDS number when booking.
手数料は、お客様のご出発の翌月末に銀行振込でお支払いします。ご予約の際に、IATAまたはTIDSの番号をお知らせください。
Commission is not paid on cancellation fees or no-show charges.
取消料と不泊の料金には、手数料はお支払いしません。
Net rates are available for tour operators on request. Net rates are confidential and should not be shown to guests.
旅行会社さま向けのネット料金は、ご依頼に応じてお知らせします。ネット料金は非公開で、お客様にはお見せにならないようお願いいたします。
1枚にまとめる書き方は旅行アドバイザーに渡す1枚の作り方に、最初の連絡の書き方は旅行アドバイザーへ送る最初のメールにあります。
よくある質問
手数料の率は何パーセントにすればよいですか
決まった率はありません。ヒルトンの公開している方針では、各ホテルが一般向けの料金などに最大10%の手数料を払うとしていますが、これは一つの会社の例です。貴館の料金の組み立てと、ほかの経路に払っている手数料と並べて決めます。
手数料を払う相手が本当に旅行会社かどうかはどう確かめますか
国際航空運送協会(IATA)の番号や、IATAのTIDSの番号を予約のときに伝えてもらう形が使われています。TIDSは、航空会社やホテルチェーンなどが旅行の販売の仲介者を見分けるための仕組みで、手数料を払う相手の確認にも使われています。番号を控え、請求書と照らし合わせます。
ネット料金で渡すときに気をつけることはありますか
ネット料金は、宿が受け取る額を示し、旅行会社がそこに自分の取り分を足してお客様に示す形です。宿の側は、その料金を公開しないでほしいことと、取り消しの条件と支払いの方法を、書面で伝えておきます。
まとめ
旅行会社との料金のやり取りには、宿が手数料を払う形と、宿が受け取る額を示すネット料金の形があります。ヒルトンの公開している方針は、率、何に掛けるか、払う相手の番号、払い方、問い合わせの期限まで具体的に書いています。宿の側は、形、率と掛ける額、対象の料金、払う時期、取り消しと不泊の扱い、払い方、請求と記録を先に決め、英語の短い文にして、旅行アドバイザーに渡す1枚と最初の返事に載せます。相手を見分けるには、IATAかTIDSの番号を控えます。STAYGOコンサルティングでは、貴館の料金の組み立てに合わせて、手数料の決まりを英語と日本語の文にそろえます。
出典と調べ方
三つの頁は、記事を書いた2026年10月7日に開いて読み、確かめました。ヒルトンの方針は一つの会社の例で、変わることがあります。業界で広く使われている率を示す公的な資料は見つけられなかったため、相場の数字は書いていません。机上で調べたもので、各社に問い合わせてはいません。
- Hilton「Transient Commissions」(旅行会社向けの頁)(最大10%、何に掛けるか、IATAやTIDSなどへの登録と番号、毎週の支払いと3%の処理の費用、発ってから12か月以内の問い合わせ)
- IATA「Travel Industry Designator Service (TIDS)」(TIDSの仕組みと、ホテルやリゾートのチェーンなどが手数料を含む取引の管理に使っていること)
- IATA「TIDS FAQ」(申し込みと毎年の更新の費用を2020年10月からなくしたこと、米国ではTIDSが使えずIATANの似た仕組みがあること)