決まった順番で進めれば、海外からでも東京のマンションに家具をそろえられます。まず建物の管理規約を読み、搬入の扱いを管理事務所に確認し、部屋と住戸までの搬入経路を測ってから、一つずつ選び、承認し、遠隔で支払います。海外からできないのは扉を開けることだけです。鍵を預かり、搬入の日ごとに立ち会う人を早めに決めておきましょう。

日本にいないと何が変わるか
住んでいる家の家具をそろえることは、その場での小さな判断の積み重ねです。海外にお住まいの場合、その判断の一つひとつに写真や寸法、連絡が必要になり、搬入のたびに玄関で迎える人が要ります。選ぶものはどの家でも同じですが、決める順番の大切さがずっと増します。
何かを選ぶ前に、その住まいを何のために使うかを決めておくと進めやすくなります。年に数週間だけ訪れる家なら、家具の数は少なめに、長く空ける月にも傷みにくい布を選び、出発前に閉じられる収納があると安心です。残すものの周りに余白を取ることを、日本のデザインでは ma(間、ゆとりのある余白)と呼びます。余白のある家は、離れていても手入れがしやすくなります。
まず建物の決まりから
日本のマンションでは、区分所有者は全員が管理組合(kanri kumiai、所有者でつくる管理の組織)の一員です。管理規約は建物の最も上位の決まりで、所有者にも賃借人にも同じように適用されます。国土交通省(MLIT)は2026年3月に初版を出した外国人区分所有者向けの英語冊子でこのことを説明し、自分の建物の管理規約をよく読むよう求めています。
多くの建物は、国土交通省のひな形であるマンション標準管理規約をもとに管理規約を定めています。ひな形では、共用部分やほかの住戸に影響するおそれのある専有部分の工事は、図面・仕様書・工程表を添えて事前に理事会の承認を受ける必要があります(第17条)。承認が要らない工事でも、工事業者の出入りや資材の搬入、騒音や振動が建物に及ぶものは事前の届出が必要です。建物の使い方の細かな決まりは使用細則で別に定めるとされている(第18条)ため、これも管理事務所に求めておきましょう。
家具を壁に固定する場合は、もう一つ確認が要ります。ひな形では、天井・床・壁は、建物の構造をなす部分を除いて専有部分に含まれます(第7条)。国土交通省のひな形のコメントは、躯体コンクリートへの穴あけやアンカーボルトの打ち込みを、理事会の承認が必要な工事に挙げています。穴をあける前に、どの壁ならねじが効くかを管理事務所に確認してください。
ここに書いたのは一般的な情報です。ご自身の建物については、管理会社、建築士、または関係する窓口にお問い合わせください。
部屋と搬入経路を測る
リビングに収まるソファでも、そこまで運び込めないことがあります。部屋だけでなく経路も測りましょう。建物の入口、エレベーターの扉とかご(幅・奥行き・高さと対角線)、廊下と曲がり角、住戸の玄関扉、室内の扉です。部屋では天井の高さ、コンセントとエアコンの位置、一日のうちどこに光が入るかを控えておきます。
ご自身で測れない場合は、信頼できる方や依頼した人に測ってもらい、メジャーが写った写真と寸法入りの簡単な平面図をもらいましょう。購入時の間取り図は出発点として役立ちますが、造り付けの収納や扉の正確な位置までは載っていないことがあります。
採寸を進めるのと並行して、管理事務所に短い質問を書面で送りましょう。答えは図面と一緒に保管しておきます。
- 搬入には事前の届出が要りますか。何日前までですか。
- 搬入や住戸内の作業に決まった時間帯はありますか。
- エレベーターに養生が必要ですか。誰が手配しますか。
- 搬入の車はどこに停められますか。
- どの壁ならねじが効きますか。家具の固定に承認は要りますか。
海外から選び、承認し、支払う
候補を絞り、大きな家具から決めていきます。ダイニングテーブル、ソファ、ベッド、収納です。Japandi のインテリアを目指すなら、木の家具で全体の調子を決め、照明や小さな工芸品はそのあとに合わせていきます。
一点ごとに、正確な寸法、素材と仕上げ、できれば実物かサンプルの写真、納期、配送料、そして配送に部屋までの運び込みと開梱が含まれるかを確かめましょう。受注生産の品は時間がかかることがあるので、作り手に納品日を尋ねておきます。
一点ずつ書面で承認しましょう。最終の仕様と価格を書いたメールやメッセージがあれば、あとで何かが変わったときにも記録がはっきりします。
支払いは作り手や店に直接行います。海外からどの支払い方法が使えるか、価格に消費税が含まれるか、品物が傷んで届いたときにどう対応してもらえるかを尋ねておきましょう。
搬入の日の受け取りと確認
鍵を預かり、搬入ごとに立ち会い、配送の人が帰る前に品物を確かめる人が必要です。日本にいるご家族やご友人、または依頼した管理会社などが考えられます。配送の際に運び込みと組み立てまでしてくれる店もありますが、その場合も住戸に入るための段取りはご自身で整える必要があります。
2026年4月から、日本国外に住む区分所有者は、日本に住所のある人を国内管理人に選び、管理組合での手続きを代わりに行ってもらえるようになりました。たとえば総会での議決権の行使や管理費の支払いです(国土交通省の冊子)。この役割は管理組合に関するものです。鍵や搬入は、信頼できる方と別に取り決めておきましょう。
受け取る人には、一点ずつ開梱して写真を撮り、傷があればサインの前に配送伝票に書き込み、その日のうちに写真を送ってもらうよう頼んでおきます。日本のごみの決まりは地域や建物ごとに細かく定められているので、梱包材を誰がどう片付けるかも前もって決めておきましょう。
窓口ひとつに任せられることと任せられないこと
海外のオーナーには、日本語が話せて作り手や店の探し方を知る窓口ひとつを通して進めたい方も多くいらっしゃいます。その窓口が何をするのかははっきりさせておきましょう。家具や照明、工芸品を選び、注文を手配して送る、というのは一つの種類の仕事です。
工事のための設計図、工事監理、そして工事そのものは、日本では法律で決まりがあります。設計と工事監理は登録された建築士事務所が、工事は施工会社が行い、施工会社は一定の金額を超える工事には建設業の許可が必要です。それぞれとはご自身が直接契約し、管理組合への承認の申請も区分所有者であるご自身が行います。
STAYGO ATELIER にできること
STAYGO ATELIER は、お客様が望む家具・照明・工芸品・アートをデザイナーの目で選び、作り手や店への注文を手配して、発送までを整えます。一点ごとにお客様に承認いただき、作り手や店へのお支払いはお客様から直接お願いしています。家への訪問、据え付けや配置、設計や工事はお引き受けしていません。
よくいただく質問
海外にいる間、東京のマンションに届く家具は誰が受け取れますか
日本にいるご家族やご友人、依頼した管理会社、または住戸に入る段取りを整えたうえでの店の配送の人です。まず管理事務所に、搬入に事前の届出や時間の決まりがあるかを確認してください。
家具をそろえるだけでも管理組合の承認が要りますか
ひな形の管理規約が承認を求めるのは、共用部分やほかの住戸に影響するおそれのある専有部分の工事で、置くだけの家具は工事に当たりません。それでも搬入には建物の使用細則による届出が要ることがあり、躯体コンクリートへの穴あけはひな形では承認が必要です。
日本に着く前に家具をそろえておけますか
はい。採寸、承認、支払いを遠隔で進め、ご自身が頼んだ人が搬入ごとに受け取れば可能です。受注生産の品の納期と、建物が定める届出の期間に余裕を見ておきましょう。
店への支払いは直接ですか、それとも窓口を通しますか
STAYGO ATELIER では、作り手や店にお客様が直接お支払いいただくので、売買はお客様と売り手の間で結ばれます。海外からどの支払い方法が使えるかは、それぞれに確認してください。
この記事は日本のマンションの決まりについての一般的な情報で、法的な助言ではありません。個別のご事情については、建物の管理会社、建築士、または関係する窓口にお問い合わせください。
出典
- Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism (MLIT), For Foreign Building Unit Owners: Condominium Management in Japan (first edition) (2026)
- Condominium Management Center, Standard Condominium Management Bylaws (Single Building Type), provisional English translation (2026)
- MLIT, マンション標準管理規約(単棟型)コメント (Standard Condominium Management Bylaws with commentary, Japanese) (2025)
- MLIT, 住宅:マンション管理 (Condominium management, Japanese) (2026)


