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館内の表示と案内を多言語にする

館内の表示を多言語にするときは、非常口や禁止の表示のように、読めないと危ないものや困るものから始めます。言葉は英語を基本にし、中国語や韓国語などは、館に来ているお客様の国と地域を見て足します。訳し方は、観光庁の「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」(2014年3月)にそろえると、町の案内や地図と同じ言葉になります。この記事では、手を付ける順番、言語の選び方、言葉のそろえ方、ピクトグラム、客室の案内書き、非常時の案内をまとめます。
要点
- 非常時の案内、禁止と注意、場所の名前、使い方と決まりの順に始めます。観光庁のガイドラインは、禁止や注意、名称や案内の表示には英語を併記するのを基本としています。
- 中国語や韓国語などは、宿泊者名簿や予約の記録から多い国と地域を数えて足します。
- 訳は観光庁のガイドラインにそろえます。温泉は Onsen、露天風呂は Rotenburo (outdoor bath) のように載っています。
- ピクトグラムで必要なことが十分に伝わる場合は、外国語の併記が必ずしも要らないとされています。
- 館で使う訳を一覧にして、表示、客室の案内書き、ウェブサイト、予約サイトで同じ言葉を使います。
読めないと困るものから始める
観光庁のガイドラインは、案内を三つに分けています。禁止や注意を促すもの、名称や案内、誘導、位置を示すもの、展示などを文章で解説するもの、です。前の二つは、外国からのお客様に役に立たないものを除いて英語を併記するのを基本とし、解説する文章は、見やすさや見た目に問題がない限り英語を併記するのが望ましいとしています。
館の中に置きかえると、次の順になります。
- 非常時の案内 非常口、避難の経路、地震や火事のときにすること。
- 禁止と注意 土足、禁煙、浴場での決まり、静かにしてほしい時間。
- 場所の名前 帳場、大浴場、食事処、お手洗い、客室の番号。
- 使い方と決まり 風呂の入り方、浴衣の着方、食事と風呂の時刻、チェックアウト。
館のしつらえや歴史の説明は、そのあとで間に合います。
どの言葉で書くか
ガイドラインは、施設や地域の事情から中国語や韓国語などの必要性が高い施設では、見やすさや見た目に問題がない限り、それらの言語やほかに必要な言語も書くのが望ましいとしています。
館で決めるときは、宿泊者名簿の国籍の欄や予約の記録から、多い国と地域を数えます。中国語には簡体字と繁体字があるので、どちらの地域のお客様が多いかも見ておきます。表示に載せきれない言語は、客室の案内書きや館のウェブページに回し、表示には英語とピクトグラムを置く、という分け方もあります。
訳す言葉をそろえる
ガイドラインには、英語、中国語、韓国語で400以上の用語や文の対訳が載っています。館の表示も、ここにある訳に合わせると、駅や町の案内、地図と同じ言葉になり、お客様が迷いません。館に関わるものでは、たとえば次の訳があります。
- 温泉 Onsen
- 露天風呂 Rotenburo (outdoor bath)
- 土足厳禁 Please Remove Shoes
- 禁煙 No Smoking
- 非常口 Emergency Exit
- お手洗い/トイレ Restroom / Toilet
ガイドラインは、日本の読み方を伝えたい言葉は、ローマ字で書いたあとに英語の意味を括弧で添えるとしています。Rotenburo (outdoor bath) がその形です。温泉の Onsen のように、日本の読み方が広く知られている言葉は、意味を添えなくてよいとされています。
同じものを、表示、客室の案内書き、ウェブサイト、予約サイトで違う言葉にしないことも大切です。館で使う訳を一覧にして、新しく表示を作るときはそこから選びます。風呂の決まりの書き方はお風呂とタトゥーの決まりを英語で書くにあります。
ピクトグラムを使う
ガイドラインは、ピクトグラムは図で直感的に伝えられるので、言語を問わず伝えることができ、ピクトグラムで必要なことが十分に伝わる場合は、外国語の併記が必ずしも要らないとしています。禁止や注意の表示には、ピクトグラムを積極的に使うのが望ましいとも書いています。
靴を脱ぐ場所、撮影を控えてほしい場所、浴場の男女の別のように、一目で分かってほしいところに使います。図だけでは伝わりにくい決まりは、図に短い英語を添えます。
客室の案内書き
客室に置く案内書きは、お客様が部屋で最初に読むものです。1枚目に、今夜と明朝のことをまとめます。
- 時刻 夕食、朝食、大浴場、チェックアウトの時刻と場所。
- 連絡 帳場への内線の番号と、夜に連絡がつく時間。
- 部屋の使い方 浴衣、金庫、空調、Wi-Fi のつなぎ方。
- 非常時 非常口の場所と、地震や火事のときに部屋でまずすること。
Dinner is served from 18:00 to 20:00 in the dining room on the first floor.
夕食は1階の食事処で、18時から20時までです。
The large bath is open from 15:00 to 24:00 and from 6:00 to 9:00.
大浴場は15時から24時までと、6時から9時までご利用いただけます。
Please remove your shoes at the entrance. Slippers are provided.
入口で靴をお脱ぎください。スリッパをご用意しています。
For the front desk, please dial 9.
帳場へは、内線9番におかけください。
帳場で口で伝えるときの英語は帳場と客室で使う英語の接客フレーズにまとめています。
非常時の案内
消防庁は、2018年3月29日に「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」を公表しました。対象には旅館・ホテルなどが含まれ、デジタルサイネージやスマートフォンのアプリ、フリップボードなどを使った災害の情報や避難の誘導の多言語化と、文字などによる見える化、従業員などへの教育と訓練を、施設で取り組むことが望ましいこととして挙げています。火事や地震のときに「やさしい日本語」を使うことにも触れています。
館では、避難の経路の図を英語つきで客室に置き、夜の当番でも読み上げられる短い文を紙にして帳場に置いておきます。観光庁のガイドラインにも、非常時の文の対訳が載っています。
Stay calm as you move to safety.
落ち着いて避難してください。
Listen for instructions. Follow guide lights.
係員の案内や、誘導灯を目印に避難してください。
作ったあとに確かめる
表示を作ったら、館の人が海外のお客様になったつもりで、玄関から客室、大浴場、食事処、非常口まで歩いてみます。曲がり角で次の案内が見えるか、同じものが場所によって違う言葉になっていないかを見ます。
訳した文は、その言語を読める人に一度読んでもらいます。機械で訳した文には、意味が通らないものや、強すぎる言い方が混じることがあります。
まとめ
館内の表示は、非常時の案内と禁止や注意の表示から、英語とピクトグラムで始めます。中国語や韓国語などは、来ているお客様の国と地域を見て足します。訳は観光庁のガイドラインにそろえ、館で使う訳を一覧にして、表示、案内書き、ウェブサイトで同じ言葉を使います。STAYGOコンサルティングの無料の簡易見立てでは、公式サイトと予約サイトを旅行アドバイザーの目線で拝見し、優先して直したい3点をお伝えします。
出典と調べ方
観光庁のガイドライン(PDF)と、総務省の消防庁の発表の頁は、記事を書いた2026年10月5日に読んで確かめました。机上で調べたもので、観光庁や消防庁に問い合わせてはいません。
- 観光庁「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」(平成26年3月)(対応言語の考え方、表記の方法、ピクトグラム、対訳語、非常時の文例)
- 総務省消防庁「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」の公表(平成30年3月29日)(対象施設と主な内容)